闇の中の白【五条悟】

28.偉い人 ページ29

翌日。

起きたら先輩の姿はもうなくて、


いつも通り授業を受けて特訓して
特に何が起こるわけでもない


普通の日を過ごした。


毎日のように
イタズラをしかけてきてた当事者は
夏油先輩を探しに出てるのか


日中教室にも居ないらしくて


馬鹿が減って
授業がやりやすいと硝子先輩が言っていた。


私も怯えずに生活出来るため万々歳だ。



その日もベッドに入ってうつらうつらしていたら

ギシッと床の軋む音がして



フワッと布団の中に空気が入ってきた



何当たり前のように
入ってきてるのこの先輩。


昨日みたいに場所を譲る訳もなく
寝たふりをして背中を向ければ



当たり前のようにお腹とベッドの隙間から手を差し込まれて抱き枕状態になった。



夏もすぎた紅葉の季節

確かに人肌は寂しいのは分かる。



でも、なぁ。

私が緊張して眠れない




肘を曲げて後ろに引いて
横っ腹をどついてやろうと思ったのに



無限のせいで当たらなかった。ちっ。



｢…大人しくしてな｣


｢嫌です。寝にくい｣


｢Aの匂い、落ち着く｣



スンスンと犬のように
項(うなじ)の当たりを嗅がれて


ゾワゾワと何かが背中をはしる



｢まじ、やめてください。
それ以上何かしたら、本気で怒りますよ｣


｢わかってるって…なんもしない｣



信用ならないぞ、と

暫くじっと構えていたけれど



予想を裏切って

先輩は爆睡していた。



勿論私は、
寝ようにも眠れなかった。



翌日も、先輩は朝起きたら居なかった


そして、夜寝ていたらモゾモゾベッドに入ってきて私を抱き枕にして寝ていた。



慣れつつあるのが怖い。



今日こそは、追い払おうと思って構えていた日




五条先輩は、来なかった。



その日は、急に寒くなったせいか、眠れなかった。




翌日、五条先輩と学校で会った。




すごいクマが出来ていて

その表情はなんだか暗い。




何かあったのだろうか



声をかけるのもはばかられて

そのままスルーしようとしたら




べちょっと何かが頭に着いたのがわかる



｢五条先輩！！｣



振り返れば
私を見て心底腹立つ顔して笑ってる先輩。



…やっぱり、無理して
いつも通りにしているみたいだった。




慌てて髪に絡まるスライムを落として

走って教室に着けば



ちょっと来い、と初の来賓室に連行される




なんだろう？



くれぐれも、粗相のないように。



そう言われて
背を押された部屋の中には



見た事のある偉い人がいた。

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