闇の中の白【五条悟】

23.根治療法 ページ24

五条先輩との特訓と

何度か任務をこなすうち、



何とか反転術式と
術式反転『浮』を使いこなせるようになって



私は1級に昇格した。


もちろん五条先輩も昇格して
特級になった為追いつけていないけど。



｢Aが1級なんて世も末だな｣


｢五条先輩みたいなのが特級にいる方が世も末ですよ｣



相も変わらずいつ壊れるかも分からない日常を平和に過ごしていたのだけれど……



灰原先輩が命を落とし、
七海先輩が負傷した頃から



高専内の空気は少し、暗く重くなった。



それに、連なるように
大きな出来事が発生する




.
.
.





寝る前、いつも通り部屋でゴロゴロしていたら


コンコンと硝子先輩でもない

五条先輩でもないノックの音がした




少し警戒して扉を開けば




｢やあ、今暇かな？｣



前にも増して少しやつれた様子の長身の男性＿＿＿夏油先輩がいた。



｢えっ、あ、はい！｣


｢良かった｣



当たり前のように部屋に入ってくると



｢失礼、ここで話をさせて欲しいんだ｣



扉を閉めて両手を合わせて謝る先輩



｢ど、どうぞ｣



あまり話さないけど
夏油先輩って意外と強引なとこある？



流石あの先輩の友人……。



そんなことを考えていたら、

夏油先輩は小さな声で、言う。



｢A。呪霊はどうやったらいなくなると思う？｣



呪霊が、居なくなる？



｢考えたこと……ありませんでした｣



困惑しながら、正直に応えると



｢そうか。私は、ずっと考えていたよ。

私たちのしている事は、
対症療法であって、根治療法では無い。

対症療法を続けていても、
呪霊は生まれ続け、灰原のように
呪術師が削られていくだけだ。


呪霊を消すためには2つ道がある。


呪術師だけの世界を作る

もしくは人間の呪力を消す


このふたつだ。｣



至って穏やかに、夏油先輩は告げた。



呪術師だけの世界を作る、って、

それは……人を殺すってこと？



それに、人間の呪力を消すなんて

そんなこと、出来るのだろうか。




確かに、根治療法は見つけなければいけない

死人を出さないためにも。



けれど、呪術師だけの世界にするには

呪霊に殺される人よりも死人を増やす事になる。



そんなの……ダメに決まってる。





｢大切な人を守りたい。そのために…私は、馬鹿で邪悪な人間(さる)共を皆、消そうと思うんだ。｣



｢夏油、先輩……｣



｢そのために、君の力を貸してほしい｣




…冗談だと、言ってください。

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