闇の中の白【五条悟】

39.気が合う ページ40

｢そっかぁ……先輩……｣



呪詛師に捕まってるとかどうでも良くなってきて

なんか涙が湧いてきた気がする。



上を向いて涙が溢れないようにしていたら



｢えっえっ、なんか、ごめんね……！？
ちょっと、他のやつに確認してくるわ｣


なんて、グズグズ泣き出した私を置いてそいつはどっか行った。



逃げなきゃ、なのは分かるんだけど。


なんて言うか、逃げる気が起きないというか、

ショックで動けないと言いますか…




いや、ね？



付き合ってる人居るくせに
私の部屋に侵入してたのあの人？



ほんと、ありえない。


私彼女さんに殴られても私知らない


軽薄そうだけど真面目なんだなって思ってた。でもそうじゃなくてふつーに軽い人じゃん。



うっわ、百年の恋も冷めました。


はい、大丈夫。


私はもうあんなやつ好きじゃないです。



……はよ涙、止まれ。



｢あ、ほら見て、泣いてるっしょこの子。付き合ってなくて、失恋したっぽくて｣


さっきの男が連れてきたのは
ガタイのいい薄着の人。


この人も呪詛師なんだろうか。



｢お前、嘘ついてんだろ？
ご丁寧に、五条家の使用人の護衛つけてるくせに、付き合ってねえとか意味わからん｣



｢嘘なわけないでしょう！そんなの知りませんよ！
先輩に聞いても、教えてくれないし…本人たちも話してもくれないし…

ううっ…知りませんよもう、あんな先輩…嫌い…｣



言わせないでよもう、
ほらまた涙ぶり返してきた……



うわーんと泣き始めた私に｢ごめんね｣とティッシュを差し出してくれるさっきのテンション高かった男の人。


馬鹿なの？
私縛られてるんですけど。



睨めば

ああっ、ごめんね！と
縄を解き始めるその人に


何だか毒気が抜かれた


ティッシュを貰って
鼻をかみながら



｢ていうか、なんで私、さらわれてるんですか。呪詛師さんたちの恨み買った覚えないですよ｣



ブーッとはなをかんでスッキリしつつ問えば



｢いやー五条悟の弱みだと思ってさ。五条悟が許嫁を作ったってやばい噂が流れてきて、誰だ誰だって探したら護衛つけられた女の子はっけーんして！捕獲！みたいな？｣



なるほど、よくわかんないけど

大体はわかった


｢なんで五条先輩の弱み握りたいんです？｣


｢そりゃ、あの最強を手駒もしくは無力化出来たらもう敵無しじゃん？｣


｢確かに｣


あったまいいーなんて話していたら



突然、イヤホン音量MAXで流したみたいな爆音がして視界を砂埃が覆った

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