闇の中の白【五条悟】

25.罪 ページ26

取り乱す五条先輩に

頭を抱える夜蛾先生



私のせいだ。




私が止められなかった

勝手に大丈夫だと思った



私のせいで、


あの優しい夏油先輩は

人を殺めてしまった。



ヘナヘナとその場に座り込めば



｢誰｣



目の前には

長い足。



｢盗み聞きかよ、A｣



しゃがんだその人。

射るような鋭い視線を感じて
目を伏せる



途端に殺気を感じて無意識に身体が萎縮した



｢なんで、泣いてんの？｣



ただ単に疑問に思ってるのか、

それとも
怒ってるのか分からない


凄みを帯びた声



嗚咽が漏れて、言葉が出ない。


余りの濃密な殺気に

過呼吸になりそうだった




｢はは、なんでそんなに緊張してんの？

もしかして、なんか知ってる？｣



抱き上げられて
ビクリと体が震える


それは、図星だったのと
いきなり浮遊感が来て驚いたから。



｢…知ってること全部話せよ｣




ピリピリとした殺気が肌を刺す





それが怖くて



殺気を出してる本人にしがみつくっていう
馬鹿らしいことをする私



どれくらいたったか


とても長く感じたけれど
すぐだったような気もする。



｢ほら、手ぇ離して｣



今度は酷く優しい声だった


言われるがまま手を離せば
少し柔らかい所に座らされる



相変わらずヒックヒックと嗚咽を漏らす私を
大きな手が落ち着かせるように頭を撫でる



殺気はもう向けられていなかった。



｢泣くなよ、泣き虫｣



何だかんだ隣に座って
落ち着くまで背中を撫でてくれる先輩に



落ち着いた頃、ようやく口を開く。



｢夏油先輩、大切な人たちを、守りたいって。だから、呪霊が生まれないように…非呪術師を、消すって。それに協力してくれないかって、誘われました。｣



｢…いつ頃？｣



｢任務に出る1週間前、くらいです。

私が、止められてたら、
夏油先輩は罪を背負わず済んだのに｣




悔しくて、俯けば




｢傲慢だね｣




無意識に噛んでいた下唇を
先輩の指が、なぞって、



目線を合わせる



相変わらず、吸い込まれそうなくらい

綺麗な瞳。




｢1級が特級を止められるわけないだろ。本気で止めようとしていたら、お前、アイツに殺されてるよ。

Aのせいじゃない。どんな理由があろうと、道を踏み外したのはあいつの過ち。｣




艶のある薄い唇から溢れる



耳触りのいい声が



鼓膜を揺らして溶けて



心の波を沈めていった。

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