【文豪ストレイドッグス】 私と織田作

モノガタリ17 ページ18

コチコチと定期的になる時計の音をぼんやりと聞く
もうあと数十秒後、約束の日の1週間






｢まさか....ね、こんな夜中に来るはずないよ｣





そう思って、椅子から立ち上がる
外に出ようとして扉にかけようとした手を止めた



(エンジンのがする.............)






こんな夜中に客なんてありえない
ましてや織田作さんや太宰もこんな遅くに来ないであろう






念のために、ドアについている覗き穴から外を伺う
どうやら車が止まっているようだ
かなり大きめの多分ポル●ェとか、べ●ツとかだろう





あーーーーー、バイト行きたいなぁ
江戸川さんとか国木田さんとか与謝野さんに会いたいなぁ....








一息ついて、ドアから離れる
おじさんに話そうと思い、奥へと足を進める







トントントン






ドアがなった
正確には叩かれた





｢.........................ｪ｣







小さく小さく、自分にも聞こえないくらいの声で呟いた
慌てて口を抑える






｢ねぇ、Aー！！いるんでしょ？？
迎えに来たわよ！！｣





そう叫ぶ聞き覚えのある声
ドアを叩く音は次第に音を大きくしていく







｢いないのー？？｣




｢エリスちゃん、寝てるんだよきっと
ほら、こんな時間だし.......｣





｢そうね、明日の朝にまた来ましょう｣







そんな会話を残してまたエンジンの音がする
タイヤのこすれる音から遠ざかっていくのがわかった







口を押さえていた手を離す
心做しか震えているような気がした

否、震えていたんだ
きっと怖かったのだろう
自分の体なのになんて情けない



そのまま腰が抜けてしまい、その場にへたりこんでしまった
まさか来るとは思ってなかったんだ









あとからおじさんが来て、座り込んでいる私に驚いて慌ててよってきた


私はどうすることも出来ないまま、おじさんにしがみついて震えた






時間よ、たたないでおくれ過ぎないでおくれ
どうかまだ夢を見させておくれ





どうか、どうか.............
私を連れていかないでおくれ






あの人たちに連れていかれたら
どうしても元の生活には戻れない気がするんだ





だから待とう
あの人が来るのを....

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