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『笑ってる余裕ねえから』
「えー、休憩しましょうよ」
『しません』
「なんでですか、もう補習飽きました」
『おまえなあ』
今度は呆れた顔であたしの顔を見つめてくる。近い距離で目の会う感覚に、胸がドキドキしてうるさい。
パッと視線を逸らすと、『は、もしかして照れた?』と顔を覗き込んでくる。
「照れてないですから」
『ふーん、見かけによらず純粋なわけね』
「どういう意味ですかそれ」
『派手っぽいのにあんまりガツガツしてない』
「…みんなにも言われます。ビッチそうとか、彼氏たくさんいそうとか」
『彼氏いんの?』
「何ですかその質問」
『え?シンプルに気になった』
「最近別れましたけど」
『何で?』
「……言いません」
浮気されたなんて、恥ずかしくて言えないジャンハオ先生から視線を逸らすように、机の上の教科書に目を落とすと、『そっか』と先生の声が聞こえた。
「先生は彼女いるんですか」
『内緒』
「うわ、それ絶対いるやつですよね」
『だから内緒だって言ってるじゃん』
『あーもう、何かおれまで補習する気なくなった』
「あ、先生がそんなこと言っていいんですか?」
『誰のせいだよ』
ギロリと、大きな目に睨まれる。
「じゃあもう少しお話しますか?」
『先生も忙しいんです。暗くなる前に早く帰れ』
先に席を立ち上がるジャンハオ先生。後から自分も鞄を抱えて立ち上がると、先生と一緒に教室を出た。
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作者名:ばしみちゃん | 作成日時:2023年5月26日 22時