女子校教師 (ページ2)

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「ね、一限なんだっけ」 

「数学だよ～。あのオジサン先生きらいなんだよね」 

「うわ最悪…サボろうかな」

 「今日ミニテストだから無理だよ。点数が成績に入るって言ってたし」

 そう言いながら数学の参考書に目を通す目の前の席のサラ。後ろから体を乗り出して、教科書を覗き込むと一緒にため息をついた。 

せめて窓際列の後ろの席がよかったな。窓の外の景色を眺めてれば、少しくらいオジサン先生の顔を見なくて済むのに。 真ん中列の前から2番目の自分の席だと、居眠りすらできないし、スマホだって扱えない。

 ふと時計に目をやると、授業が始まるまで5分を切っていた。  欠伸をひとつして、目の前のサラに「先生きたら起こして」と声をかけると、ほんの数分だけど机に伏せて目を閉じた。 なのに、そのタイミングで教室のドアが開く音がする。 

「…………え」 

起こしてくれるはずのサラは、何だか驚いた声をだしていて、さっきまでキャッキャと楽しそうに話していた周りの子たちは静まり返っていた。 オジサン先生が髪でも切ったわけ？そう思いながらも、ギリギリまで目を閉じていると、

『起きろ』

と低くて、よく通る声が耳を撫でた。 オジサン先生、こんな声してたっけ？ ゆっくりと机から体を起こして前を見ると、そこには、ふわふわした黒髪に、真っ白な肌、いつものオジサン先生とは全く違う若い男の人が教壇に立っていた。

 そして何より、イケメン。  

「………誰」