【推しの子】病室少女は花唄を (ページ2)

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『だれですか？』

そう言うと、そっくりな顔の眉間にシワが寄る

なんだか双子みたいだ

「おぼえてない…？あ、分かった、ドッキリ！Aってば嘘下手…！」

「…おい」

男の子は私が混乱していたのを理解したみたいだ。

女の子は私が嘘を言ってるって信じたいみたい

わからない。だれ？だれなの？

「混乱させて悪い。お医者様に連絡して、俺達はもう帰ろう」

「え…？やだ、せっかくAが起きたのに、しかも誰って言って…」

「様子が可笑しいのは分かる。でもこれ以上はAが」

「嫌だ！絶対話するの！」

「ルビー！」

数分は言い合っていた2人だったが、結局今日は帰るという事で話が纏まったらしい

2人の居ない病室は、驚く程に静かであった。

＊＊＊

数刻後、お医者様がやって来た

私も随分落ち着いて、大抵のことは思い出せた。

家族と、2人の事を除いて。

「A様は、端的に申し上げますと、記憶を失ってしまっています。
　一時的なものか、はたまた治ることの無いものかは私にも分かりかねます、ごめんなさい」

お医者様は、深々と頭を下げた。

「数時間前、アクアマリン様、ルビー様から様態をお聞きしました。
　お2人の事のみお忘れに？」

『あ…いえ、他にも忘れていた事はありました。
　ただふ、2人の事以外は、時間が経てば思い出せたものが大体で…』

「ふむ。ありがとうございます」

もうひとつだけ私に軽い質問をしてから、お医者様は部屋を出た。