・ ページ7
・
『あ、あの…ちょっと、良いですか…？』
「…あ、ああ。もうすぐ退園の時間ですが…どうかしましたか？」
あいつの思い付いた"作戦"とやら。
…確かに、単純な事なのに思いつかなかったな。
ーーーー
「_________財布を落とした？」
こくり、と黙って頷く。
なるほど、厳格の精神に基づいた人たちが多いからこそこんな作戦にも効くものか。
すっごいなぁ、魔法使えないくせに。
『そ、それで、届いたりしていませんか…？』
「…残念ながら、そのようなものは届いておりませんね。この学校に…お知り合いなどいたりは？」
『あっ、います…！オクタヴィネル寮に、友達が』
「オクタヴィネル寮……名前はお聞きしても？」
うげ、とあからさまに嫌な顔をしたなこの人。
『アイ・ローレイちゃん…です』
「……トレイ、ケイト。ボクはオクタヴィネル寮に行ってくる。頼めるかい？」
「ああ、任せてくれ、リドル」
「おけおけ！りょーかい、リドルくん！」
…？なんだ？
この、なんとも言えない雰囲気。
あの監督生、余計なことをしなければ良いんだけど。
「…君とアイはどういう関係なんだ？」
…おっと。
『インターネット上で繋がった友だちなんです。
今日、ようやく会えるって楽しみに来たんですけど、まさかこんな事を頼む事になるなんて…』
「へー、アイちゃんにそんな交友関係があるなんて、けーくん知らなかったなぁ」
普通聞くか？こんなこと。
っていうか、手紙に書いてあった"主に"オクタヴィネル寮の人たちが狂ってるってどういうことなんだろう。
あの監督生は普通そうだったし。
少なくともこの人たちも、まだおかしいところなんてないよ。
しばらく時間が経った後、談話室に入って来たのは。
「お待たせしました」
さっきの小柄な赤髪の人と、姉さん。
『あっ、久しぶり！』
「えっ、えっ？」
『私だよ、私。Aだよ！」
「A！？」
ぼそりと呟く。
『俺だよ、俺。ユニーク魔法使ってるって察しろ』
「あっ、あぁ。よかった……」
そうしてから、彼らの方を向いて。
『ごめんなさい、少しトイレお借りしても…？』
「ああ、…はい。外にあります」
『本当にご迷惑をおかけして…！』
…何か聞かれたら女性にしかわからないことだと言っておいた。
良かった、ここ男子校で。女性用のトイレって寮内にないもん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：y | 作成日時：2024年3月22日 17時
