・ ページ6
・
さて、そろそろ退園の時間。
問題はここからどうするかだよな、生徒に紛れるにしたって万が一ボロが出たらどうなるか。
まあ取り敢えず今飲んでるもの飲み終わっちゃお。
「あ、あの！」
『……ん？』
あれ、この子。さっき話しかけてきた子だ。
「ちょっと、来てください！」
『えっ』
ぐい、と腕を引かれ連れていかれるがままに。
なに？バレた？じゃあこの子はあの変 態大男の仲間ってこと？
ならば魔法で……いや人目が多すぎる。
ーーーーー
来た場所はオンボロ寮だった。
談話室のソファに腰掛ける彼を見て、自分も座る。
『あ、あの……何の用、ですか？もうすぐ退園の時間なんですけど……』
人前で叫ばなかった俺の判断は正しかったと思わせてくれよ。
何処からか現れたゴースト達がお茶を持ってきた。
「……」
未だに返事がない彼の顔を覗き込む。
……耳まで真っ赤だった。
『あの……生徒さん？』
「ご、ごめんなさい！急に連れてきちゃってなんて言うか……女性と二人っきりで話す事は慣れてないんです……！」
『……』
いや、この学校に入学してるって事はお前年上だろ。
俺でさえ女性はちゃんとエスコートできるぞ。
『……あの狸は？』
「グリム、のことですか……？今、他寮の方に預かってもらっています」
『へぇ。ところで、悪いけど俺男だよ』
「……えっ？」
『話が進まないから言わせてもらうけど、俺男。
緊張する必要もないし、早く言ってくれない？』
「……」
……おっと、流石に黙り込んでしまったか。
「……僕の純情を弄びやがって……！」
『良いから早く言えよ、先輩』
「年下……まあ、いいや。それなら猫かぶる必要ないし。
さっき言えなかったけど、あの時見せた写真の人探しててね」
『言えなかったって言ってもそれは察せられたよ』
「あの写真の主のお姉さん、……監 禁させられてるんだよ」
『……へー』
なんだ、知ってたのか。
「あのグリムが近くに居てさっきは話せなかったけどさ。
ところでお前はどうしてそんな格好してんの？」
『あー、女装？お前みたいなど……純粋な男を弄ぶためかな。……だから、巻き込まないでくれる？』
「無理。この事情聞いたからには絶対に協力してもらう。一般人の助けが必要なんだ」
『えぇ……横暴』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：y | 作成日時：2024年3月22日 17時
