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「ぼ、僕……人を探してて」
『はい』
目立つからと言う理由で、人気のあまりないディアソムニア寮で散歩しながら話を聞く。
「こ、この人！見ませんでしたか？」
そうして出してきた写真に映っていた人物は……。
『……』
俺だ
「あ、あの？どうかしましたか……？」
「ふな〜っ！早く答えるんだゾ、さっさと"あいつらから解放"してもらうんだゾ〜！」
ようやく喋ったその狸。
『うーん……見ていませんね、どうして探しているんですか？』
まあ全力で誤魔化させてもらうけど。
「えっと……」
ちらり、と抱っこしているその狸の方を見る。
「その……ごめんなさい、忘れてください！」
『えっ』
走って行ってしまった。
寮内は走るなよー、なんて考えながら逃してしまった情報は大きい。
あいつ、あの変態監 禁大男の仲間か？
でも妙だな、一切魔力が感じられなかった。
あの写真も、モストロ・ラウンジ内で撮られたものぽかったし……姉さんも撮ろうとすれば撮れる。
でもあの変態大男もそうなんだよな……姉さんが協力を要請した？
でも、ならどうして理由を言わなかった？
一体何が起きてるんだよ、この学校。
はあ、とため息を吐きながら、また観光へと戻ることにした。
「あやつ、一般人にしては魔力が強いと思わんか？」
「……そうか？」
リリアとマレウスが言った。
その目に移しているのはAの擬態姿。
「僕は魔力量よりも、魔力の形が気になるな」
品定めをするようにつま先から髪の毛先までじっくりと見て、そう呟く。
「確かに、あの魔力の形……何処かで見たような気がするのぅ」
くく、とリリアが笑う。
マレウスもそれに釣られて笑った。
だが、決して近づきやすい雰囲気ではなかった。
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作者名：y | 作成日時：2024年3月22日 17時
