perfect smile【しょごりく】

Ｎｏ．３１ ページ33

『聞きたいことあるから一緒に帰ろ？ヽ(*´з｀*)ﾉ』



俺の携帯に届いたりくさんからのメッセージ。


これを見た時から、心臓が鳴り止まなくてうるさい。


もしかしてバレたのかな。


話をなにかしようと思ってもうまく口から言葉が出てこない。




「最近、一緒に帰れてなくてごめんね？」


「え、いや、こっちも」



先に口を開いたのはりくさんだった。



「・・・聞きたいことって、何ですか」



「んー、・・・。見間違いかもしれないけどしょうごが昨日の放課後、大津先生と車に乗って帰るの見たんだよね」



嘘だ。


まさかあの場面を見られてた・・・？


絶対にりくさんには知られたくなかったのに。


嫌。嫌。嫌！！


頭がぐるぐると回るように思考がまとまらずにりくさんを欺く否定の言葉すら出てこない。





「・・・最近しょうごと一緒にいる時間少ないし、ちょっと心配してる」


大丈夫？と優しく肩に手を置かれる。









もう、終わりだ。









「りくさん、・・・別れてください」







夕焼けの中、小さな影が立ち止まる。








「しょうごは俺の事もう好きじゃない？」



嫌いになっちゃった？と力なく笑うりくさんの言葉を否定するようにブンブンと首を横に振る。



そんなことない。


りくさんのこと嫌いなんてそんなことない。




むしろ








「じゃあなんで、別れるの？」




「俺は何があってもしょうごを守るよ。それはしょうごが俺を嫌いになっても変わらないから」





真っ直ぐな瞳が俺の心を射抜く。


りくさんには自分の心を偽ることなんて出来ないんだ。





「好き、・・・好きなんです、りくさんがっ」





そう言葉を絞り出した瞬間、ぎゅう、と力強く抱きしめられる。



久しぶりに感じたりくさんの体温。



それにひどく安心して涙が止まらず、ついには嗚咽まで響き始める。



涙が溢れて肩のほうを濡らした。





オレンジの中で大きな影が1つ。


どこまでもどこまでも伸びる影は確かに存在していた。

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