perfect smile【しょごりく】

Ｎｏ．２５ ページ25

あれから部屋に戻るとウォークラリーを終えた壱馬と北人がいた。


2人はこれから浴場へ行くらしい。


確かに、自分たちの入浴は夕食前のグループに割り当てられていたことを思い出した。



「翔吾、体調大丈夫？」



北人が心配そうに顔を覗き込んでくる。


その顔が眩しすぎて目を逸らした。


汚い自分がそんなに綺麗なものを見ていいのか、なぞの罪悪感で。



「うん、休んだら回復した！」



そう言うと2人は安心したようだった。


2人が部屋を出たあとで俺はスマホを取り出す。


そこには新規のメッセージが届いていた。




〘しょうご楽しんでるー？〙


〘しょうごに会えなくて寂しいっ(´･ω･`)ｼｮﾎﾞｰﾝ〙




「りくさん･･･」



思わず笑みがこぼれる。


心が暖かくなるのと同時に胸が締め付けられる。


りくさんを裏切った。


りくさんはこんなにも俺を愛してくれているのに俺はりくさんじゃない奴と行為をした。


いつもりくさんが愛を注いでくれる大好きだった愛の行為。


その意味を、自分の中での存在を汚した。




〘研修楽しんでまーす〙

〘部活がんばってください♡〙



一言、一言書く度に胸が苦しい。


だけど文字をうつ。





りくさんに絶対に知られてはいけない。


りくさんの顔を曇らせたくない。


嫌われたくない。


ただ、それだけ。



ありのまま本当のことを話したら絶対にりくさんは大津と敵対する。


でも大津はりくさんをその気になれば陥れることだって容易なんだろう。


もし俺が話したせいで



サッカーに支障が出たら、




推薦の話がなくなったら、




りくさん自身に何かあったら、



絶対に悪い方向へ行くのは確かだ。







だから絶対に知られちゃいけないんだ。

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