perfect smile【しょごりく】

Ｎｏ．２０ ページ20

「それにしても蜂であんなに騒ぐかなぁ？」

「ていうかそもそも蜂おったん？」

「ん〜、見てない」



出来上がったカレーを食べたあとは片付けをし、夕食前のウォークラリーのための休憩をとっている。


みんなでつくったカレーはすごく美味しかった。


炊飯器で炊いたご飯より飯ごうで炊いたご飯は新鮮な感じだった。


家で飯ごうは使えないから土鍋でご飯を炊いてみようかな。


もちろんりくさんと一緒に食べよう。


楽しさでまぎらわせていたけどちょっとりくさんに会えなくて憂鬱。





「翔吾聞いてる？」


「ん？」


「あいつ、大津の」


「え？ああ、あれ？」




ウォークラリーが始まるまでの休憩は涼しい木陰で俺たちは適当に喋って暇を潰していた。




「蜂がおったとしてもあれはオーバーリアクションやって」



どう思った？と壱馬が俺に向き直る。



確かにびっくりはしたけど、今年からの教育実習期間が終わって急遽もといた先生の代理をすることになった人だから、先生は先生なりに頑張った末の言動だったように思う。


さすがにスプレーを足に塗り込むのはやりすぎやと思うけど。



「熱血･･･？なんかな」




まあ大津先生のイメージを統合するとこんな感じ。




ちょうどその時、集合の合図が鳴った。




「もう少し休憩させてくれてもいいじゃん」



北人がしぶしぶと立ち上がり、俺たちもそれに続いた。



ウォークラリーはこの広場から森を通って宿泊施設まで戻る道のりだ。


ルートはマップを渡されるまでわからない。




リーダーは壱馬。



今、壱馬がマップを受け取った。



「よし、行こうや」



そう壱馬が言って俺たちは森の中へと入る。








最悪の出来事が起こるまであと少しなんてこと、この時の自分は全く思っていなかった。

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