No.19 ページ19
「カレーてベタやん。もっと別のもん作れとか言われた方がおもろかったやろ」
隣で俺と同じように薪を運ぶのは北人と同じくらい仲のいい友達の壱馬。
今、ご飯を炊く為の薪を壱馬と運んでいた。
カレー作りは野外の調理場。
北人はお米を洗う係としてただいま絶賛米とぎ中。
「ええやん、大人数で一気に作れるのってカレーくらいやと思う」
「もっと・・・あ、焼きそばとかあるやん」
「焼きそばよりカレーの方が好き」
そう言うと、壱馬がちょっとむくれる。
壱馬はクールだけど友達にはこどもっぽい面を見せてくれる。
薪を自分たちの飯ごうの下に設置したあとはカレーに入れる野菜の下ごしらえだ。
自炊してるから包丁の扱いは誰よりもうまい自信があった。
「翔吾うまっ」
「俺ルーもらってくる」
今のところカレー作りは順調だ。
和やかな雰囲気を壊すように大きな声が響いた。
「岩谷!大丈夫か!!!!」
声の主は骨折をしてしまった先生の代わりにこのレクリエーションに参加することになった教員になったばかりの大津先生。
「っ、ぅわ!?」
大津先生がそう叫んだかと思うと、俺はいきなり横抱きにされた。
え!?
なんで俺の身体浮いとるん!?
なんで!?!?
頭の中は疑問でいっぱいでパニックを起こしている。
北人もびっくりした様子だった。
「せ、先生?なんで俺持ち上げて・・・」
「ああいや、・・・大きい蜂が岩屋の足元にいてな?」
その言葉でなんとか大津先生が俺の身体を抱き上げた意味が分かった。
けどそろそろ恥ずかしいから降ろして欲しい。
けれどすぐに降ろされることはなく、俺を抱き上げたまま調理場から離れたところの椅子へたどり着き、そこでやっと降ろされた。
服装は学校指定の青いジャージで足元の裾をまくっていた。
先生は足が露出されている部分に虫除けスプレーを多すぎなんじゃないかってくらいかけた。
「そんなにせんくっても大丈夫ですよ・・・?」
「初めての泊まりがけ学習でケガ人が出たら大変だから・・・、さっきは大声で驚かしてごめんな?」
「・・・っ」
そう言いながらも、先生はスプレーの成分を肌に浸透させるかのように足をすり込むように触れ続けている。
なかなかそれをやめない大津先生をどうしようかと思って動けなかったその時、壱馬が迎えに来てくれた。
そしてやっと大津先生から解放された。
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波瑠(プロフ) - 久々の更新とっても嬉しいです!! (2020年4月21日 12時) (レス) id: 3edc067806 (このIDを非表示/違反報告)
にゃ☆(プロフ) - あいしゅんさんの言葉選びがエロくて好きです(//∇//)耐えてるしょごくん…萌えます。更新楽しみにしてます! (2020年4月9日 20時) (レス) id: 5a4ad934f2 (このIDを非表示/違反報告)
りー - 最高です。続きが気になります。楽しみに待ってます。 (2020年4月8日 9時) (レス) id: 30b38fa8ac (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく - 続きがめちゃくちゃ気になり過ぎてどーなんのかな?と妄想してしまいます…更新頑張ってください。 (2020年4月5日 13時) (レス) id: 2efa75c036 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤 友菜(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります!!!! (2020年3月26日 15時) (レス) id: 10694b541c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいんしゅ | 作成日時:2019年12月27日 18時