perfect smile【しょごりく】

Ｎｏ．１７ ページ17

「えっ、1泊2日！？」




休み時間、たまたま通りかかったりくさんにLHRのことを話した。




「俺のときは日帰りだったのに･･･」



目に見えてしょぼん、とうなだれるりくさんはちょっと子どもっぽくてかわいい。


母性本能くすぐられるというか。




「まあまあ、俺がりくさんの分まで楽しんできますからっ」




そう言うと、りくさんはちょっとだけむっとした表情をする。


だからかわいいって。



「違うの！俺はしょうごに2日も会えないことがいやなの」



今俺の胸にとすっ、とハートの矢が刺さった。


りくさんは恥ずかしがることも無くこういうことを言えるからすごい。


それで心臓が持たない。




「あっ、しょうご照れてる！」



「て、照れてなんかないですっ」



「かわいい〜」



「もうっ」




ぷい、と横をむくとそれすらもかわいいと言うように頭を撫でてくる。



そしてその光景を遠巻きに見ていた女子たちは悲鳴をあげる。


「尊すぎる先輩と後輩だわ･･･！」

「りくくん優しいっ！」

「青山先輩に私も頭撫でられたい･･･」


そんな声も聞こえてきた。


俺とりくさんが恋人同士というのはみんなには言ってない。


だから他の人から見れば仲の良い先輩と後輩のスキンシップにしか見えないだろう。




「俺、しょうごが熊に食べられないか心配だよ･･･」



「え、縁起でもないこと言わんでください！」




それでもりくさんはぶつぶつと俺のことを心配している。


そのりくさんの気持ちが今、すごく嬉しい。


そして、そうだ！とりくさんが明るい声をあげた。



そこで丁度よくチャイムが鳴り、他の生徒たちはバラバラになる。


りくさんも「また放課後ここで会おう」と言い残してクラスに帰っていった。






そして放課後。


放課後はあんなに賑わっていた廊下もシン、としている。




「しょうご、目をつむってて･･･」


言われたとおりにメインつむっていると、左腕の手首を掴まれるのがわかった。


ついでにりくさんの手が熱くなっているのも。


もういいよ、とりくさんに言われ目を開け、左の手首を見るとバンドが巻かれていた。


革でできている細めのバンドはヒモで細かく調整できるらしく、ピッタリと手首にフィットしている。




「これ、お守り」




りくさんは微笑む。




「しょうごが無事に楽しむことができるように」




そしてりくさんは掴んだままの俺の左手首にキスを落とした。

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