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気怠い身体でぼんやりと目が覚め、真っ先に目に入ったのは少し焼けた肌だった。真っ白じゃない、健康的な肌色と、一定の鼓動。
包まれる温かさと身体に乗る片腕の重みに、縋るように寄り添う。
腰が鈍く痛い。内側からの鈍痛と、肌が何度もぶつかり合うほど酷くされた事による外側の痛み。
手酷く抱かれた中で、それでも優しく触れる手や声に何度も反応して、堕とし込まれて、絆されて、許した。
"っは、ぁ......ん、A......ッ"
思い出してぞく、と肌が粟立つ。く、と布団を鼻先まで上げて、まるで耳元で鳴っているかと錯覚するほど大きくなる心音を鎮めたくて、目を瞑って胸元に縋る。
遮光カーテンからは何の光も通していない事を考えると、今は夜中なのだろうか。帰っていいと言われた時は夕方だった。
あ、と思い出して、腕の中からこっそりと抜け出す。グクの時に散々起こさないよう気をつけていただけあって、難なく完了した。
ベッド下に落ちていた下着を身につけ、ダボダボのパーカーと緩いズボンを履いて、そっと寝室を後にする。
『タナ、ごめんね、お腹空いたね』
壁掛け時計はもう23時を過ぎていて、タナはリビングに入るなりしっぽを振ってくるくる。ケージの戸を開ければ寂しかったと言わんばかりに足元にすりすりと寄ってくれるのを抱き上げて、ご飯を入れてお手とおかわりをさせる。
『いい子....よし』
勢いよくご飯を食べるタナを見ながら、隣の器に水を汲む。
痛む腰を押さえつつ、シャワーを浴びて、化粧水をぺちぺちと顔に馴染ませつつリビングに戻れば、そこにはマグカップを2つ、キッチンで用意している後ろ姿。
何となくの気分で、お湯が沸くのを待っているのを確認してそっと、背からお腹に腕を回した。
「っわ、A!腰大丈夫?ごめんね、酷くしすぎたよね」
『ん.....痛いけど、それより痕つけすぎ、じゃないかな』
鏡を見てびっくりした。
首元だけならまだしも、お腹にも、内腿にも、まさかと思って見てみれば背中にも真っ赤な痕が沢山ついていた。
「ひひ、俺のって印」
左手薬指のリングをなぞる指が、そっと力を込めて身体を引き寄せる。
火を消したキッチンとオッパの身体に挟まれ、くい、頬を上げられた。
(落とされた唇が深く角度を変える度、甘いココアが香る)
優しさを溶かしたそれが、温かさを帯びて移されていく。
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▲たると▽(プロフ) - すみれさん» ぜひぜひ、どちらにもハマって頂けたら!( *´ `*) (5月18日 18時) (レス) @page6 id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 私はグクペンなんですけど、テテペンにもなってしまいそうです! (2023年4月29日 11時) (レス) @page4 id: 1033a80771 (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - めめさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます...!頑張ります! (2022年9月21日 18時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - k.nさん» お待たせしました!ありがとうございます!ごゆっくり見ていて頂けると幸いです...! (2022年9月21日 18時) (レス) @page3 id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 何回も読み直してる大好きな作品です!!!更新楽しみにしてます! (2022年9月8日 2時) (レス) @page2 id: 657388ff32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:▲たると▽ | 作成日時:2022年9月7日 1時