# ページ2
*
作業室で暇を持て余して、ピアノを適当に弾いていたら、待っていたスマホの通知。Aの仕事が終わった。
急いで荷物を持って、部屋の電気を消して部屋を出る。
道中今から行くねとカトクを返し、退勤して駐車場への自動ドアを抜けると、もう目の前に停めてある車の助手席に乗った。
「お疲れ様、A」
『テヒョンさんもお疲れ様です』
ふふ、と笑って、シートベルトを締めた俺を見て車を動かす。
『作業は順調にいきそう?』
「うん、いい感じ!Aももう仕事すっかり慣れたみたいだね」
『おかげさまで』
他愛ない話をしながら、まだ少しだけ明るさを保った外を横目に流す。運転するAが流す曲は、俺の影響なのかジャズだ。
結婚してからお互いに、お互いの趣味や好きな事が似通ってきた。
例えば音楽の好み。例えば好きな番組。同じタイミングで眠たくなったり、お腹がすいたり、起きたり。
そんな些細な出来事が、毎日少しづつ重ねられていく。
不意に形容しがたいほどの幸せが溢れるようで、噛み締めるように緩む口角を隠しもせずに、笑えることが苦しいほど本当に幸せだ。
『あ、そうだ。あのね、今日ちょっとスマホの機能でわからないことがあって、後で見て欲しいの』
「っぇ、あ....うん、わかった。ひひ、A、必要最低限しかスマホ使わないもんね」
『うっ...まあ、連絡ツールじゃなきゃ買ってもないかも.....』
グガって本当にAのことは何でも知ってるって言うか、把握してるって言うか....さっきも聞いたなそのフレーズって、そう思うことがもう何度もある。
黄金マンネってほんとに、こんなとこまで?
機会が、こんなにあっさりきてしまった........
.
急に少し早くなった鼓動に、何だか居心地が悪くて外に目を向けた。
歩道を歩くカップルや、親子。会社帰りのサラリーマン。至る建物を出入りする人。自転車をこぐ人、ちょっとした段差に座る人、立ち話をする人。
そんな日常生活を送る人を見ると、時折思うんだよね。
ジョングクが、横でハンドルを握るその小さな手を引っ張ってこなければ、俺は今頃こうして穏やかに過ごしては無かったんだって。
.
.
だから結局、何だって良い。Aが俺の隣で幸せだって言ってくれるなら。でもあわよくばって思ってしまう。
隠し事なんて、無ければなって。
.
2762人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
▲たると▽(プロフ) - すみれさん» ぜひぜひ、どちらにもハマって頂けたら!( *´ `*) (5月18日 18時) (レス) @page6 id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 私はグクペンなんですけど、テテペンにもなってしまいそうです! (2023年4月29日 11時) (レス) @page4 id: 1033a80771 (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - めめさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます...!頑張ります! (2022年9月21日 18時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - k.nさん» お待たせしました!ありがとうございます!ごゆっくり見ていて頂けると幸いです...! (2022年9月21日 18時) (レス) @page3 id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 何回も読み直してる大好きな作品です!!!更新楽しみにしてます! (2022年9月8日 2時) (レス) @page2 id: 657388ff32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:▲たると▽ | 作成日時:2022年9月7日 1時