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「A」



控えめな声に呼ばれて前を向く。

どこかためらっているような、もどかしいその声色。

邪険さも敏感に感じ取ってしまう。






「なんで、帰ってきたの?」


「だって、私の家はここでしょ」


「そう、だけど」





母親は困ったような泣きそうな顔になる。

まるで、自分が被害者かのようなその面。

その表情に胸が苛立ちで侵される。






「一度捨てた娘が家にいると気まずい?」



その言葉に、母親は表情を変えた。



「A、その話はここでしないで。リカもいるのよ」



リカを庇うように抱きしめ、こちらを睨む母親。

まだ9歳の妹はあまり状況が飲み込めていないようだった。





「リカには黙ったままなんだ」


「当たり前よ。わざわざ話すつもりはないわ」



自分のしたことをなかったことにするつもりなんだ。




Aはスプーンをテーブルに置く。

感情的になるのをぐっとこらえて、また前を向いた。




「いつか私にしたように、リカのことも飽きて施設の前に捨ててくのかな?

そして今度は罪悪感に見舞われて返してなんて泣きわめく?」





こんな嫌味を言う時点で感情的になっている証拠だ。

自分は冷静でいるつもりなのに、この親にここまで心を揺さぶられているのがどうしても不快でならない。






「A、いい加減にしなさい」


「なによ、私にしたことをありのまま話しただけじゃない」




今にも泣き出しそうな母親。

そうだよ、お前はそうやって罪悪感の中でもがき苦しめばいいんだよ。


Aは身を乗り出してそんな母親を嘲笑う。






「どう?いたたまれないでしょ?」


「…っ!」




次の瞬間、頬に鋭い痛みが広がった。







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秋(シュウ)(プロフ) - 青葉さん» コメントありがとうございます!その作品とても好きな作品で、それを読んだ後に作り始めたので影響受けちゃってるかもです…!自然だと言ってもらえて嬉しいです! (2018年8月14日 18時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ちょっと『また、アシタ』ぽくて雰囲気すごく好きです。隼くんのキャラに違和感がなくてすごく自然な作品だなって感じました。更新楽しみにしてますね! (2018年8月13日 23時) (レス) id: fccf92ae33 (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - くれおんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです! (2018年8月13日 11時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)
くれおん(プロフ) - めっっっっっちゃおもしろいです! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 99e78605ea (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります! (2018年8月12日 17時) (レス) id: 1fb44807fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋(シュウ) | 作成日時:2018年8月7日 21時

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