timide cat 小森隼

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Aにとって隼は未知だった。


大人のくせにとても素直な人。

喜怒哀楽がわかりやすくて、そしてとても優しい人。






施設にいた経験があるが、そのときは大人から腫れ物扱いをされた。

そして、学校でもそんな扱いを受けた。


友達は事情を知らないので普通に接してくれるのだが、周りの大人は一線を引いてこちらを見ているのをAは気がついていた。




「A〜、ご飯何作るの？」


「今日は野菜炒め」


「楽しみ！」




屈託ない笑顔で笑うこの人はどこか子供っぽくみえる。


無邪気さとまっすぐさを兼ね備えた、いかにも純粋そうな子供。


なにをどうしたらここまで綺麗な人に育つのか。

Aにはわからない。





「そういや、A、ご飯作らせてごめんね？」


「いいよ。泊めさせてもらってるかわりだし」


「うーん。でもなぁ」









この人の優しさが偽善じゃないことはわかる。

そこまで人間不信になった覚えはない。


ただ、まっすぐに向けられる優しに戸惑っているのは事実だ。

見返りを求めないこのまっすぐな優しさは自分にとっては未知で、理解しがたいものだったから。







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