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傘を持つこともままならず、しゃがみこんで雨に打たれる。

あの日以来、雨に濡れることが怖くなっていた。

冷たい雨の感触は、ダイレクトにあの日のことを思い出させるから。


だから、梅雨時期はいつになく気に病むし、また、一段とナイーブになる。









頭の中でぐるぐると回るあの日の情景。

あの日の悲しみと苦しみ。

誰もいないけれど、必死に嗚咽をこらえた。









「…」









傘に雨が当たる音が聞こえた。

それは、自分の頭上から。



誰かが、自分に傘をさしてくれているのがわかった。




そして、ほのかに香る香水。


顔を上げずとも誰かはわかった。







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作者名:秋(シュウ) | 作成日時:2018年6月29日 21時

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