tender rain 数原龍友 (ページ38)

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夏本番。

台風が過ぎ去ってから、晴れ間は続く。

「最近雨降らんなぁ」

「洗濯物がよく乾くからいいよね」

「それはそうやけど」

あの人とはなかなか会えずじまいだ。

連絡も1日に一回のペース。

それじゃ足りなかった。

「雨が降ったら、またあの人に会えるかもしれんのに」

「最近は会えてないんだ？」

「会えてへん。

あー、もう。なんやねん、僕だけこんな焦ってるんやで」

涼太はクスクスと笑う。

「龍友君をこんなに振り回す人って、いったいどんな人なんですか」

「笑い事ちゃうって…」

涼太は相変わらず笑っている。

「僕、手繋いだだけで緊張してるんやで？あの人は平然としてたのに」

「ん、手は繋いだんだ？」

「ま、まぁ」

すると涼太は急に真面目な顔になった。

「気持ち、伝えないの？」

「…そりゃいつかは、って思ってる」

「そっか。待たせすぎちゃダメですよ」

「え？」

「俺たちは仕事柄的にどうしても相手に気を使わせてますからね。優しい人なら余計にね」

いわれなくてもわかっている。

ただ、まだ勇気は出てこないままだった。

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