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朝目が覚めて、ゆっくりと体を起こす。
「…あのまま寝てしもうたんか」
Aはソファに座ったまま眠っていた。
龍友はそんなAの膝を借りて眠ってしまっていたらしい。
起こしてくれたらよかったのに、と思ったが、そうしなかったのはAの優しさだろう。
「…」
ふと手に感じた温もり。
その原因は龍友だった。
Aの手を自分の両手でしっかりと握っていた。
Aが離れなれられなかった理由もこのせいだと気がつく。
龍友がその手をそっと離すと、Aが目を覚ます。
「…あ、起こしちゃいました？」
「いえ。よく、眠れましたか？」
「はい。おかげさまで」
「よかったです」
目覚めのいい今日。
そんな今日は珍しい。
きっと、この人のおかげ。
何も知らない、名前も知らない。
ただ、この人が優しいことはわかった。
今はそれだで十分だと思った。
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作者名：秋(シュウ) | 作成日時：2018年6月29日 21時
