【最遊記】５００年の約束＿初恋＿ (ページ7)

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七話目『聖印』の力ページ7

「呪い」を利用するなんて、どうすればいい。
たとえ『清華』であるとしてもわからない。
このままでは、本当に八戒が危ない。

だけど、諦めたくない。
失いたくない、死んで欲しくない。

もう、一人になりたくない。

主＞…八戒。

体勢を整え、八戒を横にする、少しでも楽な体勢にしなければ。
そっと彼の彼の髪を撫でるA。
息をするのも苦しそうな彼を助けたい、ここでやれる事なんてもうこれしか思いつかない。

鳳凰華、咲かせる方法なんて本当にわからない。
だから、願うしか出来ない。
身体にある二つの「呪い」を利用して咲かせる。

憎かった、この力が。
周りを苦しめて、親の命と引き替えに守られて、また大事な人を苦しめてきた。

だけど、この力を証拠に、大事な人を救えるのなら。
『聖印』だって、なんだって利用してみせる。

あの頃とは違う、最期に大事な人といられても、また離れ離れになるなんてもう耐えられない。

叶えたかった想いが沢山あった。
それでも、過去は変えられないし未来はわからない。
だから願った。

また皆で、桜を見ようと。
５００年のあの約束を、また叶えたい。

そっと手を胸元に結び、祈るようにする。
何度でも願いたい、神様なんて信じないような集団だけど…それでも今出来る事があってそれをすれば大事な人が救われるなら…何も躊躇わない。

以前死にたいと願った彼は…生きたいと、願ってくれた。
そして今度は、一緒に生きてと言ってくれた。

死の瀬戸際まで助けに来てくれて、また伝えてくれた。
大好きな人との約束を、覚えていてくれた。

もう逢えないなんて嫌だ…待つなんてもう出来ません。

ただただ、祈った。

どうか、大事な人を奪わないでと。
この先を共に歩かせて欲しい、５００年の月日からやっと共に歩ける。
どんなに辛くても、彼と共にいられるなら何も怖くはない。

主＞…どうか、咲いて。

そう小声で呟くA。
流れる涙はそのまま彼の頬へとつたって地面へと堕ちる。
地面から光を感じた。

それは先程涙が零れ落ちた場所。

美しい華が、咲いていた。

主＞…これが…。

春＞は、はは…思った通りです…。
ちゃんと、咲いたじゃないですか…鳳凰華。

輝いていたその華は見た事のないものだった。

願ったものは、そこにある。
初めて見たその華、『鳳凰華』はどこか懐かしくてとても美しく咲いていた。