【最遊記】５００年の約束＿初恋＿ (ページ6)

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六話目救うためにページ6

八＞…A。

優しく抱きしめ、Aの耳元で名前を呼ぶ。
八戒に抱き着いたまま動かないAだが、顔は真っ赤でそのままぼろぼろと涙を零していた。

ちゃんとそこにはAがいた。
呪いに囚われたその人はいない。

八＞…っ……お帰り、なさい。

主＞……た、だいま……っ…。
すみません……私…っ…。

八＞気にしないで、ください……。
貴方は、何も…悪く、ない…。

そう言いながら八戒がAの所へと崩れた。
何が起こったのか分からず、Aは支えようとするけど触れた場所がやけに濡れている。それもベタベタと。

主＞は、っか……い…？

嫌な予感がしてそこを見れば、彼の巻いていた布からは血が溢れていた。
応急処置したはずの所がまた開いた。
それが分かると彼らも近くにやってきて、傷を見る。
自分のせいだとわかるAは真っ青だった。

浄＞くそっ…！！
やっぱ深かったか…！

悟＞やべーよ…！血、止まらない…！！
三蔵！！どうしよ、どうしよ…！

三＞喚くな…！
…こいつが気功を使えねぇんじゃ、ここには治療出来るやつはいねぇよ。

悟＞そんな…！！

どうすれば、頭はグルグルして何も浮かばない。
呼吸は浅くなる一方で、目の前に居る大事な人が救われないなんて、考えたくなかった。
やっと会えたのに、また一緒にいられると思えたのに。
自分のせいでその未来を奪ってしまった。
約束が…果たせない。

彼の笑顔は、もう見られない…？

春＞……鳳凰華を、使えば…彼は助かります…。

突然聞こえた声の方を見ると、その人はフラフラになりながら彼らの元へと来た。もちろん三蔵が銃を構え何時でも撃てるようにする。それに微動だにせず、春澪はAの方を見つめ続けた。

春＞貴方が、あの方の記憶を思い出したのなら……知っているはずだ。あの華を、出せば…彼を救えるはず…。

主＞けどっ……私は、もう『清華』じゃない……。
華の神ではない、出すための力もない……。
ここで、大事な人を助けられない…無力、です…。

私は…っ…５００年前から…何も、変わってない…！！

春＞…確かに、５００年前と今は違うでしょう。
…けれど、貴方が『清華』であるのは間違いない…。

最期に『清華』の取った行動は…諦めていましたか？

貴方の中には「聖印」の他にも…さっきまでいた「呪い」がまだいるはず。
貴方の救いたい気持ちがあるなら…その力も利用すればいい。