【最遊記】５００年の約束＿初恋＿ (ページ5)

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五話目託すページ5

主＞「…っ…！！」

目を見開いたAは、苦しそうに頭を押さえ叫んだ。
さっきと同じ状況になるA。何が起こっているのかわからない彼らと倒れていた八戒は血を吐き、起き上がろうとしていた。

浄＞おま…！！

八＞げほっ…っ…ギリギリ、でしたか…っ…。

気功を使おうとしても痛みの強さに上手く使えず、悟浄の腕を掴んで立ち上がろうとする。
傷は彼の巻いていた白い布を使い、応急処置をしようとした。
もちろん悟浄や悟空も手伝い、それはすぐに何とかなった。

三蔵は分かっていたのか、八戒を見て黙っている。
そんな八戒もあの空間で得た答えを実感しつつ、Aを見つめ直した。

三＞……地獄はどうだった。

八＞…ええ、最高でしたよ。

やっと、応えを聞けたので。

浄＞…！

その言葉は何を意味したのか、悟浄はわかっていた。
八戒はもうAだけしか見ていない。

苦しそうにもがき、彼に向けて手を伸ばすA。

それが答えだった。

悟浄は少しだけ俯いて、自身の武器を握りしめ、唇を噛んでいた。やってくる実感には悔しさと別の気持ちもあったからこそ、彼はすぐに立ち上がれた。

今はそれを言う時じゃない。
今出来ることは、たった一つ。

託す事だ。

浄＞……頼んだぞ。

八＞……はい。

Aを見つめる八戒は真っ直ぐな瞳をしていた。
覚悟は決まり、応えも出た。歩き始め、Aの前へと立つ。
必死に堪えているAは、苦しそうに彼へとすがる。
これ以上何も迷うことはない。

八＞もう二度と貴方を一人にはしません。
過去の罪が貴方を苦しめるなら、僕が貴方を支えます。
貴方には普通の恋をして、幸せに暮らして欲しいと思った時もありました。

でも、その誰かに貴方を譲りたくない。
何度生まれ変わっても、僕は貴方に恋をします。

今度こそ…約束を果たさせてください。

…大好きですよ、『A 』。

そう言ってから八戒は、Aの両頬へ手を添えて近づいた。
優しく触れた唇に、Aは動きを止め、震えながら八戒の背中へと手を回す。

誰かに見られても、こんな状況でも、今欲しいと思ったものがある。

それが、八戒にとってAで、Aにとって八戒だった。
この口づけが離れ難く、少し離れるとまた深くなり八戒も頬にやるその手を離さずそのままでいる。

苦しくなって流石に離れる二人の目が合う。
何度見ただろう、Aの泣く姿を。

もう何もいらない、これ以上何も望まない。

だから…神様、どうか…。