【最遊記】５００年の約束＿初恋＿ (ページ22)

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最終話今度こそページ22

予定よりも長く滞在したこの街もおさらば。
顔つきのいい彼らは、名残惜しくも目的の地へと足を運ぶ。
そしてジープの上で喧嘩しながら、妖怪と戦いまた移動する。
いつもの時間、変わらぬ日々。

でも、違うものがある。

浄＞Aとどうだったわけ？？

八＞セクハラですね。

そう言って拳をぶつけようとするとさらりとかわされた。
避けた悟浄はケラケラと笑いながら彼の顔を見て察しはついている。

浄＞上手くいってなによりですわ。

八＞ええ、お陰様で。

浄＞…Aの事、離すなよ。

そう言った彼は遠くを見ている。
自分では叶わないその想いを、信頼している人が叶えた。
悔しさもある、けれど…安心はしている。

八戒はそんな彼を見て、彼の優しさを感じつつ足を小突いた。

浄＞ってぇ！おい！俺の足が長い事への嫉妬か！？

八＞自己中な人はモテませんよ？
貴方に心配されずとも、もう離しませんよ。

こんなにも、Aに溺れてしまったのだから。

５００年の約束があろうとなかろうと、彼はAに恋をした。
そう言える自信があるくらいに、その人から目が離せなかった。

八＞僕の気持ちは、出会ったあの時から…定まってしまったのだから。

あの少しの間一緒に過ごして、自分のために泣いてくれて、優しくて、重いものを抱えながらも強く生きようとして。

放っておけるはずがない。

浄＞…へっ、そーかよ。

八＞まあ、早く西域に行ってこの旅でAの『聖印』をどうにかして、幸せに静かに暮らすって大仕事がありますし、手伝ってくださいね？悟浄。

浄＞お前…人使い荒いな。

八＞貴方がちゃんとゴミの日を覚えてられるか不安ですから、ご近所付き合いは大事にしないと。

浄＞俺は戻ってもお前の小姑ごっこに付き合うわけ？

八＞ええ、僕はしつこいですよ？

５００年前から。というのは言わずに、彼に向かって笑う。
悟浄は呆れながらも煙草に火をつけて吸い始めた。
少し歩けば、Aが走ってこちらへ来る。
八戒の元へ来て、嬉しそうに笑っている。男装したAに、ちゃんと仲間として特別な立場としてそこにいる八戒。

浄＞……幸せになれよ、「今度こそ」。

悟浄はそう呟いた。聞こえるわけもない先に歩いていた二人は、悟浄を呼ぶ。
吸いかけの煙草の火を消して、彼もまたジープへと向かう。

彼らの求める幸せは、まだ先の話。

この初恋は、まだちゃんと叶っていない。
けれど、あの時とは違う。

今度こそ、約束を果たす日はやってくる。