二十一話目 共に ページ21
主＞…っ…。
角度を変えて触れ合う口づけ。止まらないそれに、八戒がやっと離れるとうっとりとした顔をしているAがいた。
八＞…大丈夫ですか。
主＞…は、はい…。
大丈夫、と言いかけた時にまた彼はまた口づけをする。
今度は少しだけ、そしてAをベッドへ運びそのまま倒す。
身体が熱くなる。ドキドキとするその瞬間瞬間に、頭がぼうっとする。
八＞A、もし嫌だと思ったら殴ってでも止めてください。
主＞え…？
八＞ずっと、この時を待っていたのは事実です。
けれど、貴方が少しでも嫌と感じたら止めて欲しい。
貴方をもう傷つけたくはない。
この時間は、互いに同じ気持ちであるなら続けたいです。
やはり優しい。
ここまで来て気にしてくれる彼のその性格に、Aはまた彼に惹かれていた。
そんな事、あるはずないのに。
主＞自分は、貴方が好きです。
八＞…！
主＞自分の事をいつも心配してくれて、気遣いが出来て、そして誰より自分の事を大事に想ってくれる。
だからこそ、貴方のものになりたい。
八戒の首へとするりと手を回し、そのまま寄せる。
体勢を崩す彼は彼女の首元へと顔を埋める形になる。
離れる気はないけど、耳元からは彼女の吐息を感じ反射的にびっくりする。
主＞「私」は、貴方を愛しています。
何をされても、どんな事があっても、もう貴方から離れられません。
だからこそ、「私」も貴方に触れさせてください。
ああ、敵わないなあ。そう思ってしまう。
優しい声で、今ここにいる人は僕しか見られない唯一の人。
顔を上げれば、綺麗なその人は僕だけを求めている。
好きな人を愛せる喜びがくるなんて。
八＞ええ、いくらでも。
僕も貴方にもっと伝えたいんです。僕のこの気持ちを。
５００年分の愛を、受け取ってください。
自分でも重いなあと思うのに、そんな顔をされたらもう止まれませんね。
自分の服とバンドを外し、Aの着物の帯を解く。
綺麗だと思ったその身体に、僕の理性は止められない。
もう止まらない、痕をつける度に震えて、貴方に触れる度にその声を聞いて、涙目で見つめるその視線が僕の熱を増していく。
身体を起こし、互いに何もまとわない姿で密着し、一つ口づけをする。
八＞貴方に出会えて、本当に良かった。
A。
この先も、共に生きてください。
そう言ったら、貴方は嬉しそうに涙を流してその答えを口づけで示した。
この幸せが、まだ続いてと願いながら。
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作者名：霜月 | 作成日時：2023年5月7日 15時
