三話目 蘇る ページ3
主>「…駄目です。もうこれ以上、誰も傷つけたくない…。
皆助けてくれるってわかってるから…だから、自分でけじめをつけなきゃいけないんです…。」
八>…なら、僕だって答えは決まってます。
貴方と一緒に帰ります、ここで貴方を置いて行くなら死んだ方がマシだ。
主>「…っ!いい加減にしてください!!
貴方は生きて戻るべきです!そして三蔵達と西域を目指して、マイナスの波動を止めてください…!
自分の事は構わず、前に進んでください…!」
八>僕はもう、好きな人を二度と失いたくないんですよ!!
八戒が突然大きな声を出すと、Aはビクッと身体を強ばらせた。あまり大声で怒鳴ったりしない彼だからこそ、Aはすぐに顔を上げて彼を見る。
諦めない、そう言った顔。
どうしてここへ彼が来たのかなんてわからない。
まだ応えてない、伝えてない。
でも、ここへ来て欲しくなかったと思っているのに…。
自分の欲が、彼を呼んだのかもしれない。
会いたかった、傍にいて欲しかった。
一人で消えたくなかった。
ごめんなさい、迷惑かけて、傷つけて。
なのに、貴方はそんな顔をしてくれて、声を上げてくれる。
『この先、貴方を探して…そしてまたこの想いを、貴方に伝えます。
…大好きですよ、『 』。』
何度も蘇る言葉、貴方の声で聞こえるこの言葉。
実際に聞いたんだ、あの日あの時。
ずっとずっと、待っていた。
貴方に会えるのを、待っていた。
涙が止まらなくて、嬉しくて、こんな事考えてしまう自分が嫌いになりそうで。
それでも、やっぱり…会いたかった。
伝えたかった、貴方への応えを。
八>…貴方が何と言おうと、僕はAと生きるって決めたんです。
もうそんな顔させたくない、僕は『今度こそ』貴方を幸せにしたいんです。
主>……え?
八>……500年も、待たせちゃいましたから。
そう言って小さく笑う八戒。
その発言が何を意味するのかわかっていた。
500年は、あの時の事。あの日にした約束。
叶うかわからないのに、それでも神様は共にいる時間を許してくれた。
八>あの時は彼に譲りましたが、今度こそ…僕は諦めません。
共に生きてください……「清華」。
そう言って触れれば、強い風が吹いた。
まるでその時を待っていたように、あまりの強さに一瞬目を閉じたAは次に目を開いた時、そこにいた人を見た途端に涙が溢れる。
笑っているその人は、500年ぶりに見た人だった。
主>「天蓬様…っ…!」
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作者名:霜月 | 作成日時:2023年5月7日 15時