【最遊記】５００年の約束＿初恋＿ (ページ19)

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十九話目約束の日ページ19

ジープを走らせ、また数日を超える。
あの村が嘘だったようにいつも通り、襲撃してくる妖怪を倒しては移動する日々が続いていた中、やっと大きな街へとたどり着いた。
賑やかなその場所で早速宿へと向かう一行。

Aと八戒はもちろん忘れていなかった。あの約束を。

八＞広い部屋ですねえ。あ、しかも部屋にお風呂もあります。
悟空や三蔵もコレ見たら喜びますよ。

ねえ、A？

主＞そうですね、こんなに大きな街も久しぶりですし、少しゆっくり出来そうですね。

そう言ってベッドへと座る。
この部屋には二人だけ、そもそもここは二人の部屋。

つまり、あの約束が今果たされるのだった。

八＞ご飯までは時間がありますし、Aはお風呂に入ってはどうですか？

主＞でも、八戒だって…。

八＞貴方の方が、身体を気にするべきですよ。
この部屋は二人だけですし、遠慮しないでください。

頭を撫でる八戒の優しい手に、安心を感じるA。彼も優しく微笑んでから、そっと触れるだけの口づけをした。
突然で驚くけど、今は二人だけ。少しくらいなら、なんて考えてしまう。

主＞では、お言葉に甘えます。

八＞僕は三蔵達の所に明日の相談してきますね。

主＞わかりました、ありがとうございます。

浴槽は広かった、二人入るのも余裕なくらい。
好きなように使っていいと書いてあった華を浮かべて浸かる。
いい湯加減に、身体の疲れが取れていくようだった。
そもそも豪勢な部屋だからそういう作りになっているのも当然か、とAは思った。

自分の傷だらけの身体がふと目に入る。
女性らしくないその身体、背中には『聖印』。
普通の人間ではない、それでも彼は受け入れてくれた。

蔑ろにすればする程、悲しむ人がいる事を知れた。

けれど、やはりその身体つきについて考える度、時折街で見かける綺麗な女性に目がいってしまう。
本当なら、ああいう人の方がと思ってしまう。

それは今叶う話ではない、過去では確かに綺麗な服を着て髪も下ろして天界で過ごせた。
けれど、それが本当に幸せだったかというとそうではなかった。

大事な人がいるからこそ、その気持ちが生まれた。
過去と今をどちらも大事にしてくれる人に、また出会えた。

彼がもし、離れようとする事があってももう自分から離れるのは無理かもしれない。

そう思ってしまうくらい、Aは八戒に溺れていた。
熱くなるのは、湯船に浸かりすぎたせいと思っておこう。