十三話目 代償 ページ13
八>A…!?
悟>え、何!?何があった!?
春>ご安心を。
眠っているだけです。
俺にもまだ、力がある。
けど…もう『現世』には留まれそうにない。
そう言うと彼の肌はボロボロと崩れ落ちていく。
何が起こっているのかわからない、そんな顔の八戒達。
春澪は穏やかそうな顔で眠る彼女を見つめていた。
春>…「呪い」の代償です。
もう、俺の身体はここに留まれません。
俺は…この村で愛した人を亡くした。
その憎しみに寄り付いた「呪い」が、俺の心に呼びかけてきました。
愛する者にまた会いたいか、と。
話ながらも苦しそうに膝をつき、まだ口を開く。
これが最期の会話なら、もう誰も止められない。
春>…願いましたよ、もちろん。
そして戻って来たのは…あの姿の彼女だった。
……姿が変わっても、彼女だとわかって嬉しかった。
だから殺せなかった。
それに俺の身体は、もうその時点で「呪い」のものになり邑は媒体として俺と繋がっていた。
自分を守るため、邑を守るために一人、一人と贄として差し出し、幻想の村を作り…また訪れた者を彼女への贄にして…ここで過ごしていました。
浄>…てめえ…。
春>俺にはもう、彼女しかいなかった。
奪われ続けてきたのに、もうこれ以上は奪われたくない。
そう思っていた時、貴方達が来ました。
最初は嬉しかったんですよ、憎んでた人がこの村にわざわざ来てくれたから。
俺はやっと、復讐出来るんだと。
ボロボロと彼の身体は崩れていくのに、とても表情は穏やかでもう悔いはないという顔つきだった。
そしてジワジワと崩れる身体が黒く染まり、何かに抗おうとしているのもわかる。
八>貴方、まさか…彼女の「呪い」を…?
春>…貴方達に、もっと早く会いたかった。
そうしたら、俺は…自分が道を間違えた事にも気づけたのでしょうか。
いくら悔いても時間は戻らないのも分かっています…。
皆さんを巻き込んでしまい、本当にすみません。
自分の犯した罪は、自分で連れて行きます。
黒く染るそれが広がるのが止まり、また崩れ落ちていく。
コレで本当に最期なのだろう、彼は目を閉じて最期を受け入れよとしていた。
春>…『聖印』は、望んでない力で大事な人を奪ってしまう。
華の神は、その呪いに苦しみながらも、最期にその本質を見抜いた…きっと、Aも乗り越えられる…貴方がいるなら…。
彼女を、よろしく…お願いし、ま…す…。
そう言って、彼は笑った途端…その身体は完全に崩れ落ちた。
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作者名:霜月 | 作成日時:2023年5月7日 15時