【最遊記】５００年の約束＿初恋＿ (ページ12)

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十二話目報いる方法ページ12

次第に、耳も爪も元の形へと戻り身体の紋様は消えていく。
彼が元の姿に戻ろうとしていた。
そして、彼はすぐにAを抱き締めた。
震えていた、顔を見る事も出来なくてそれがないているようにも見えた。
彼のあまり見られないその姿に、Aは一瞬思考が止まったけれど少ししてから彼の背中へと手を回した。

主＞…大丈夫ですか…八戒…。

八＞…Aが倒れているのを見た時、気がつけばこれを外していました…。
怒りに身を任せてしまった…貴方に、こんな形でまたこの姿を見られたくはなかった…。

本当に、本当に……すみませんでした……。

主＞… 謝らないでください。
原因が自分なのは明白ですから…。

八戒にそう言って、少し離れようとしたA。でも八戒は離さずにそのままでいた。
もう妖怪はいない、ならもう少しだけこのままでも。
そうAは思ったけど、まだ解決してない事がある。
振り出しに戻った今、彼に聞かなくては。

今度こそ、八戒と離れたAはその人の方を見た。
未だ黙って立っている春澪。
Aの視線がそこに向けられ、他のメンバー達もその人を見た。

主＞…春澪さん、どうして妖怪の攻撃を避けようとしなかったんですか。

春＞…。

主＞……死ぬ、つもりなんですか。

Aの言葉に、春澪が少しだけ口を開き息を吐いた。
何かを決めたような顔でAの方へと近づく。
今度は何をしようとしているのか、八戒がAの前に出ようとした。けれど、Aはそれを止めて彼の前に出た。

春＞彼女、邑は…村の皆から好かれていました。
優しくて、綺麗で、皆の事が大好きな人で…まるで、貴方の母親のような人でした。

母のような人、それを言われると思わなかった。
もういない、自分を守って死んでしまった大事な人。

春＞けど、彼女がいなくなってからは俺の心は空っぽになり何をしていいか、生きている意味が分からなかった。

俺は、するべき事をしなければならないからこそ…死ななくてはいけない。

だから別の方法で、貴方に報いたい。

そう言って春澪はAの前に立つ。
悲しそうな笑みを浮かべ、彼は立っている。
どうしてそんな顔をしているのか分からなかった。

春＞貴方は生きるべきだ。
その力に、どうか負けないでください。

そう言ってAの肩に触れると、突然Aは膝から崩れ落ち八戒の所へと倒れ込んだ。