１５話目 彼の過去４ ページ15
アーサー＞…貴方は…。
シユウ＞『お前の中に入ったアラガミ、シユウ堕天だ。普通のシユウ堕天とは違うのは、俺もよくわからない。』
アーサー＞…そう、ですか…。
僕は、生かされてしまったんですね…。
シユウ＞『…生きることに不満か。』
アーサー＞僕の力は…人の命を奪うだけです。
殺したくない人達をこれまで沢山…殺してしまった。僕は、生きてはいけないんです…っ…。
泣いている少年に、シユウ堕天は何もせず…そこにいた。アラガミである彼には表情なんてないようなもの。
悲しそう、楽しそう、も声や何かわかりやすいもので表さない限りは何もわからない。
シユウ＞『お前の力は、もうない。』
アーサー＞…えっ…？
シユウ＞『お前、自分のその姿を見たか。』
アーサー＞姿…？
アーサーは鏡がないかとオロオロしてるけど、アリサもシユウ堕天も持ってないからどうしたものかとなったけど、ここは意識の世界。
つまり、それを意識すれば何でも出せる。
アーサー＞…わっ…！
目の前にでてきた大きなガラスに映る彼。
赤い髪に赤い瞳。まるで別人のようなその姿に彼は今そこにいるのが誰なのか、理解し難いようだった。髪を触ってみたり、手を振ってみたり。
その姿が何だか可愛らしく、アリサのことが見えていないということに、彼女は今ほんの少しだけ感謝をしていた。
シユウ＞『お前の力がないのは、その姿が証拠だ。お前は…生まれ変わったという事だ。』
アーサー＞…う、まれ……ということは、もう…もう、人を殺さない身体になれた、んですよね…っ…？
シユウ＞『…そうなるな。』
その事に、彼は嬉しかったのか。
少しずつ込み上げてきた涙とその笑みは初めて見た嬉しいという彼の感情が表れていた。
どれだけ嬉しいのだろうか、その反面に感じるのは…どれだけ、苦しめてきたのだろうか。
「死霊の眼」は、どれだけ…。
アーサー＞…なら、もうアーサー・ルエン・ノーストはいないってことですよね…？
シユウ＞『ん？そう…なるのか。』
アーサー＞…なら、この名前も変えます。
シユウ＞『ほう。』
アーサー＞…よければその…貴方がつけてくれませんか…？
シユウ＞『名付け親になれ、ということか。
だが、そんな貴重なことを…。』
アーサー＞貴方が救ってくれたからです！
だからこそ、お願いします！！
子どもらしい表情で、その元気な姿が…彼の本当の姿だというなら、何だか断ることも出来なかった。
シユウ＞『…ならば_____。』
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年12月26日 23時
