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「あぁ。あいつはヨレヨレになりながら
”飯国の魔法使いには気をつけろ。そして何としてでも飯国に勝て”
と言った。もう自分が死ぬことが分かっていたかのような言葉を…………」
「な、何でそれをもっと早く言わなかったんや……!」
「そんなの!っ……言えるわけないやろ!」
トントンさんの怒鳴り声を遮り、声を荒げる。
その大きな声に驚き、しん……と静まり返る。
「……確かに俺は、魔法使いを憎んでいる」
そんな静寂の中、今度は落ち着いた声で話し始める。その声は低くて重く、彼の感情の大きさが伝わるようだった。
「でも……あいつは俺にとっては唯一の理解者で、そして仲間で、友達だった。大事な仲間やった……。飯国の魔法使いは憎い。でも、それ以上にゾムが……大事な友達やったから……」
そう言って、泣き出してしまった。トントンさんが駆け寄り、背中をさする。
「せめて……喧嘩別れじゃなきゃ、良かったな………」
「………食堂でバチバチしてなもんな……」
ロボロさんもコネシマさんの近くに寄り、ハンカチを渡す。
「食堂で……お前は敵かもって言っちゃったんよ……、仲間なのに……。っっ謝りたかった………!」
「コネシマ………」
自分は大切な人を失った経験はないけど、コネシマさんの言葉や行動でその苦しみがよく分かる。
人は、自分がその気持ちをまだ経験していなくとも同情してしまう生き物なのである。
「一旦コネシマ退場させるわ」
トントンさんとロボロさんがコネシマさんに着き、城へと戻っていった。
「ゾムが死んだから……飯国に勝てないかもしれない」
「グルッペンさんの言う通り、ゾムさんが居ると居ないとじゃめっちゃ違いますもんね………」
グルッペンとヘルメットの人がゾムさんが居ないことの厳しさを伝える。
「……助けられなくて、ごめんなさい………っ」
あぁ。なんでこうなってしまったんだろう。もっと早く来ていれば良かったのに……。本当にいたたまれない気持ちになって謝る。私がゾムさんを助けられていたら……
コネシマさんは悲しまずにすんだし、戦争に負けなかったかもしれないのに…………。
「Aのせいではない」
「でも、グルッペン……」
「仕方なかったんだ……本当に……」
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れもんごはん - イチゴさん» ありあとうございます!応援していると言われてとても嬉しいです! (1月31日 6時) (レス) id: eaf58a5fc1 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ - コメント失礼します!!面白かったです!!更新頑張ってください!応援してます! (1月30日 16時) (レス) @page10 id: df6b50726d (このIDを非表示/違反報告)
れもんごはん - こばさん» ありがとうございます。1日1更新以上頑張ります! (1月27日 9時) (レス) id: 2a69315616 (このIDを非表示/違反報告)
こば - 最初の説明のところで「ラーメンを一緒に作ってください....」という言葉が面白すぎてやばいです。更新待ってます! (1月27日 8時) (レス) @page2 id: 471b61655b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもんごはん | 作成日時:2024年1月26日 17時