ザ・平和 ページ33
グルッペンの護衛を初めてした次の次の日の朝。
「朝7時、朝7時。起床……」
「……う〜〜ん」
部屋に設置してあるスピーカーの音で目覚める。正直いい目覚めではないが、まぁ初日よりかはマシになった。朝起きたばかりだと頭もまだ冴えないが布団から出る。そして顔を洗い、髪を整えて食堂に向かう。
「………」
今まで色々な事がありすぎたせいだろうか、何気ない日常を珍しく感じてしまう。
別に今までが物凄く非日常な日々を送っていたわけではない。幹部さんに振り回されたり、国の魔法使いだと分かったりしたが、これといって”ザ・非日常”という訳ではなかった。やはりこれは何にも代え難い、『平和』なのだろう。今絶賛飯国と戦争中だけどね!
「あ、オスマンさんとロボロさん。おはようございます」
「あ!Aちゃん、おはよう〜!」
「おはようAさん〜」
食堂に向かっている途中、オスマンさんとロボロさんに出逢った。2人は並んで歩いていて、オスマンさんとロボロさんの身長差がよく分かる。
「お二人は、これから食堂に行きますか?」
「行かんよ?」
「あ、でも俺は行く〜!今日はスイーツバイキングやから、甘いものいっぱい食べんねん」
「あ〜ね?俺も行っていい?」
「ええで!Aさんも一緒に行こ!」
スイーツバイキングという単語を聞いて私もお腹がすいてきた。今日のお昼も甘い物にしようか。なんて考えながら彼らと一緒に食堂へ向かおうとしたが
「……すみません、やっぱり遠慮します」
「え?どうしたん急に」
「いや、なんかオスマンさんとロボロさんの甘々な空気に居辛くなったので」
「な、なんやねんそれ!?」
「あ、もしかして嫉妬?嫉妬やんな?」
ニヤニヤしながらオスマンさんがこちらを見てくる。彼の笑みはとても黒い。きっと彼がロボロさんのスイーツを横取りするつもりなんだろう……。私が冷めた目で見つめ返すと、彼は更に笑みを深める。
「では失礼します」
「あ!ちょっと待ってAちゃん!」
2人に頭を下げてその場から離れようとしたが、後ろからガシッと腕を掴まれた。驚いて振り返ると、オスマンさんが私に小声で耳打ちしてきた。
囁かれた言葉に思わず笑う。
それは、私にとっては嬉しい言葉だったから。
私はその言葉に対して頷くと、オスマンさんはニコニコと満面の笑みを浮かべた。
「…二人共なにコソコソやってん?」
そんな私たちの様子を見て、ロボロさんは不思議そうに首を傾げていた。
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れもんごはん - イチゴさん» ありあとうございます!応援していると言われてとても嬉しいです! (1月31日 6時) (レス) id: eaf58a5fc1 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ - コメント失礼します!!面白かったです!!更新頑張ってください!応援してます! (1月30日 16時) (レス) @page10 id: df6b50726d (このIDを非表示/違反報告)
れもんごはん - こばさん» ありがとうございます。1日1更新以上頑張ります! (1月27日 9時) (レス) id: 2a69315616 (このIDを非表示/違反報告)
こば - 最初の説明のところで「ラーメンを一緒に作ってください....」という言葉が面白すぎてやばいです。更新待ってます! (1月27日 8時) (レス) @page2 id: 471b61655b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもんごはん | 作成日時:2024年1月26日 17時