愛だけしかない《赤》-４-

#１６６ ページ16

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立ち上がって食べ終わったお皿をまたキッチンに運ぼうとする私の腕を掴まれる。



「なぁ、なんか言えや。何に怒ってんねん」



全部見透かされてしまいそうな眼差しから目を背けて


ぱっと手を振り払う。




「…え、」


ショックを受けたような声が後ろから聞こえて、ちょっと心が痛くなるけど


ここで負けちゃダメだA！



「…A、ちゃんと言うて？」


「俺なんかしたん？」


「何に怒ってるん」


「お口くっついちゃったんか？」


「なーあー、A…」




どんどん悲しそーになっていく。



そして洗い物をしてる私の背中にギュッとくっついてきた。



「…返事して？」


「…。」


「なんかしたなら謝るから、ごめんな？」


「…。」


「無視せんといてやぁ…」



後頭部に頰が当たっていて


抱きしめる力はなんだか弱々しくて



私まで悲しくなってくる…。





「…ほんまに、あかんて」



お皿を持ってないなかった一瞬の隙を狙われて、急にタオルでゴシゴシ手を拭かれて



引っ張られてソファに座らせられる。



向かい合って手をギュッと握られるから、顔だけ背けると



「A〜…Aちゃぁん…」


弱り果てた声。


ど、どうしよう


言うべき？



「なんか言うてや、頼むから」


「…。」


「そばにおるのにこんなんつらい…」


「…。」


「いくらでも怒鳴っても責めてもええから、な？

声聞かして？」



優しく、それでもって哀しそうに


顔を覗き込まれる。



「…嫌い、」


「え」


「すばるくん嫌い…」


「えぇ…なんでぇ、」



喋った！って嬉しそうになった顔が一瞬で泣きそうになる。



「なんでそんなかわいいのぉ…」


「…んぇ？」


「怒ってるのに、許したくなっちゃうじゃん！」



私がいじめてるみたいだし！！



「甘やかしたくなっちゃうじゃんー…」



頰をつんつんすると、下がり眉で私を見つめる。



「…俺のこと、好きなん？き、嫌いなん？どっち？」


「嫌いだよ…ばぁか」


「そんなんあかん！好きになって！ほら！はよ！！」


いや必死か(笑)



「私の気持ち考えてくれなきゃ嫌いになっちゃうよ」


「え…俺、考えてへん？」


「やだって言ってんのにえっち続けるじゃん、毎日毎日、場所も構わずに」


「嫌よ嫌よも好きのうちちゃうん？」


「ちゃうの」


「えー…俺とすんの、嫌なん、」


しょぼん、と俯くすばるくん。


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