8 ページ28
・
｢｢｢｢｢A！！｣｣｣｣｣
教室に入った瞬間、女子に囲まれた。
｢どういうこと！？｣
｢王子と付き合ってんの！？｣
次々と質問を浴びせられる。
カップル専用路での一件は、ネットの速さで拡散されていた。
｢いつから！？｣
｢どうやったの！？何きっかけ！？｣
囲むクラスメイト達は驚きと好奇心でぎらぎらしており、その圧たるや凄まじい。
Aは
教室に来るまでに覚悟はしていたが、予想以上だ。
詰め寄る人群れに、隣の席の委員長、
それを親友のメガネ美少女、
Aはそんな光景を視界の端に見ながら、
｢…………えっと｣
とたん____あれだけ騒がしかった皆が、一瞬で黙り込む。
大統領の決断を聞こうとするように、じっと注目してくる。
もの凄くやりにくい。
その時、教室にありさと志摩子が入ってきた。
Aの置かれている状況も分かった感じで、囲む輪を｢まあまあ、ここはウチらが｣という顔で掻き分けてくる。
｢王子と話してたんだって？｣
ありさの雑談めいた入り方。
｢う、うん｣
｢付き合ってるの？｣
Aはぶんぶんと首を振る。
このクラスにも多いファンに向けて、潔白を証明しておかなくてはならない。
｢そんなわけないじゃん！｣
とたん、囲む輪に、ほっと緩んだ笑みが広がる。
Aもあははと笑う。もーないって。
｢じゃあ、なんで？｣
｢知り合いなの？｣
｢ええと……｣
言いかけて、はっとなる。
知り合いかと聞かれれば、そうだ。
でもそれを話すと、きっかけまで話さなくてはならない。
『俺がここで働いてること、誰にも言うな。絶対に』
秘密はやっぱり守らないといけないだろう。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にあ | 作成日時：2018年11月15日 16時
