第13話 ページ14
クラクラとして頭が重い。体を引き摺りながら無理に歩いてるようだ。意識が浮上するとぼんやりとした視界の中で、見知った街並みに出て行った。とは言え、ここは住宅街で、おそらく家に向かって歩いている。
あれ、でも、どうしてだっけ。私、ダークの所へ行かなかったっけ。ぐるぐると視界が回る。足元が覚束ず呼吸がしづらい。
「……風邪ひいた……?」
なぜ。どうして。私は今日、何をしていたんだっけ。覚えてるのはそう、ダークの所に行った場所まで。
後日にしようと引き返そうとして、それで……?
「あぁ……だから……歩いてるのか」
でもなんで。こんなにも体が茹で上がったように熱いんだろう。なんで私は無意識に家に向かって歩いているんだろう。私に帰趨本能はなかったと思うんだけど。
ぼやけた視界の中、ゆっくりと歩みを進めていると先程別れたはずのシカダイの姿を捉えた。
「シカダイ……?」
「A……? どうした?」
ぐるぐると視界が回る。私の様子に気がついたシカダイが慌てたように私の元へ近寄ってきた。鼻は詰まっていないようで、シカダイのいつもの匂いと少々の砂埃の匂いを感じ取った。
あぁ、修行帰りか……でも行かないんじゃなかったっけ。テマリさんに捕まったのかな……。でもだったらなんで一人で歩いてるのかな……。
自分の事を棚に上げて、ぼやぁとしながらシカダイの顔を見つめる。目が合ったシカダイは心配そうに瞳が揺れていた。
「すげー熱……何が……って聞いても今は無理か……」
シカダイの手が額に触れた。いつもは温かいその手が今日はやけに冷たくて心地いい。離れていくシカダイの手を掴み頬に当てる。
「っお、い」
「……つめたい……きもちい……」
心地いい掌に擦りつくとシカダイの手が吃驚したように動く。なんで動くんだろう。この冷たい手は。私のなのに。
「ッ、A、歩けるか?」
焦ったようなそんな声音。シカダイの手を渋々離して、ゆっくりと一歩を踏み出したところで足が地につかなかった。おかしいな、そこに地面があるのに。
巡る視界の中でもう一歩足を踏み出そうとすれば、シカダイに止められた。
「ったく、ほら……」
私の前に来たシカダイが私に声を掛けた。おぶろうとするシカダイに首を振り拒否をすれば、体がそのまま重力に合わせて前に沈んでいく。
シカダイがすぐに支えてくれたが、私の視界は黒く意識が飛んでいた。
「!?」
意識を飛ばす寸前、唇に感じた柔らかいものは何だったのか。
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レナ - こんばんは、体調は大丈夫ですか?更新頑張ってください! (5月3日 19時) (レス) id: 9d52581983 (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - レナさん» 嬉しいです、ありがとうございます!!更新頑張ります! (3月8日 22時) (レス) id: 37ed0d3f16 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 更新ありがとうございます!これからもこの作品を楽しく読んでいきます、お疲れ様でした! (3月8日 22時) (レス) @page24 id: 9d52581983 (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - レナさん» 心配をおかけして申し訳ないです……。遅くなりましたが更新させていただきました!楽しみに待っていただき本当にありがとうございます! (3月8日 22時) (レス) id: 37ed0d3f16 (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません!更新させていただきました!楽しみにしていてくれてありがとうございます! (3月8日 22時) (レス) id: 37ed0d3f16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:清水ファンタジア | 作成日時:2023年3月31日 18時