第5話 ページ7
「これをAに届けてくれ」
職員室に用があって寄った時に、ついでにと担任から頼まれたのは絡んだことの無いクラスメートのノートを届けろとのこと。
すこぶる面倒だが、午後一の授業で居眠りをしてしまったため拒否ができない。
「はぁ……」
適当に返事をし、ノートを受け取り教室に向かう。
正直、Aと言って思い出すのはこれといってない。
目立ったこともない、至って普通なアカデミー生。
Aといえば、髪の毛という髪の毛を全部後ろで纏めて、美人でもなければブスでもない平々凡々な顔の気がする。
「わっ! ご、ごめんなさい!」
ボケっと歩いていたら、知らん人とぶつかって尻もちをついてしまった。
その際にAのノートが開いたまま、床に落ちた。
よっこらせというように、ノートを拾うと目に入った文字。
"とある世界のとある少女の話"
勉強用のノートだと思っていたそれは、どうやらAが作った物語のようで。
見るつもりなんて無かったノートを、つい最初のページに戻して読み始めてしまう。
教室に歩みを進めながら、Aのノートを読み進めると鳥肌が立った。
まだ、ほんの二、三ページしか読んでないのにも関わらず世界観に引きずり込まれたのだ。
「す、げ……」
教室に入るとAが俺が持ってるノートに気づき、声にならない声をあげる。
まぁ、それもそうか……。
Aの方に顔を向け、ノートを手渡しながら口を開く。
「わり、読む気は無かったんだけどよ。あんたすげぇな。俺こんなん書けねぇや。なんつーの……続きがすげぇ気になる」
俺がそう言うとAは固まって動かなくなった。
なんだ、なんか変なこと言ったか……?
確かに勝手に人のものを読むのは良くないと思うけどなんて考えていたら、Aが口を開いた。
「……ありがとう」
息がつまり全身が熱くなる。
後少しで喉から変な声が出る所だった。
ただAの笑顔を見ただけなのに。顔が。体が。熱くてしょうがない。
俯いて口元を手の甲で抑える。
訳の分からない胸の高鳴りに、どうしたらいいのかわからず逃げるように家に帰った。
「んだよ……これ」
自室の部屋に入り、崩れ落ち頭を抱える。
まだ脳裏に焼き付いて離れないAの照れたように笑った顔が。
その笑顔がただひたすら綺麗だと思ったなんて。
その後俺はどうやって寝たのか覚えてない。
気づいたら朝で、アカデミーに行った時にAを見つけ再び顔が熱くなったのは、隣にいたいのじんしか知らない。
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清水ファンタジア(プロフ) - CCさん» 応援ありがとうございます。亀更新ではありますが頑張らせていただきます! (2021年7月8日 0時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
CC(プロフ) - 更新待ってました! ありがとうございます!!続きも楽しみにしています!頑張ってください! (2021年7月8日 0時) (レス) id: 8f9bdc23ee (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» BORUTOもそうですが、好きな話を沢山書いて練習していくといいと思います。人に見せてこそのものなので、BORUTOも頑張ってください (2020年12月18日 19時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
三色弁当 - 清水ファンタジアさん» 勇気の言葉ありがとうございます泣 NARUTOは軽くですが知ってるのですが次の世代のBORUTOを書いてるんですがそれをコツコツ書けばたくさんの方に呼んで貰えますかね、、? (2020年12月18日 16時) (レス) id: 02492f2e0b (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» 私も最初は全然上手くなかったんですけど、コツコツ書いていけば、ちゃん読んでくれる人が現れるので大丈夫ですよ! 最初はなかなか苦戦するかもしれないですが…… (2020年12月18日 16時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:清水ファンタジア | 作成日時:2020年10月6日 13時