人生三度目の転生先はBORUTOの世界でした【アカデミー編】

第41話 ページ43

やけに機嫌がいいなと、先程シカダイに声をかけられた。
なぜと聞かなかったのはシカダイらしいこと。
聞かれても答えないのがわかっていたことなのだろうから。

｢ふんふーん｣
｢逆にこえーよ｣
｢張り倒すぞ貴様｣

そんな茶番をしながらこれからのことを考える。
昨日は結局、とある人との再会で嬉しくて何も出来なかったのだ。
さてどうしたものかと悩みつつ、シノ先生がやってきたので授業を受ける。
至って普通の忍の家庭から普通に中忍になった人はどういう風に過ごしていたのか観察でもする方がいいかな。

｢次、A｣
｢え！？｣
｢……聞いてなかったのか？｣
｢す、すいません｣

シノ先生に小さくため息をつかれ、代わりにシカダイが答える羽目になってしまった。
悪い、シカダイ。悪いなんて思ってないんだけど。
ぼんやりし過ぎたなと思いながら、授業が終わるのを待った。
昼休みに入り、相変わらず機嫌の良い私にドン引きしているシカダイの頭を軽くこつくと、クレームを言われたので鼻で笑った。

｢そういやどうすんだ｣
｢…………何を？｣
｢バレンタイン。さっきシノ先生が言ってたろ｣
｢………………なんだっけ？｣
｢おい｣

全く話を聞いてなかった。
バレンタインがなんだ、チョコを作れとでも言うのか？ 無理だ、諦めろ。私にそんな才能はない。
シカダイ曰く、バレンタインの日にチョコを持った女子達が忍術や体術を使いながら逃げ、男子がそれを忍術や体術を使いながら追いかけるとのこと。
何それ、知らない。てか、何。シノ先生疲れてるの？

｢はぁん…………あ？？｣
｢なんだよ｣
｢……その日サボりたい……｣
｢は？｣

怪訝そうな表情をしながら私を見つめるシカダイを他所に血の気がひいていく。
そうだ、私、カードを使うもの以外忍術使えないんだった。
カードを使ったらほぼ反則みたいになっちゃう。
だってあれはチート……、カードを使わないでってなったら、私ただの鬼ごっこしかできない。
基本忍術を多少使える程度だ。やばい、それは非常にまずい。

｢バレンタインまで残り何日？｣
｢あと2週間｣
｢オワッタ……｣

頭の中で永遠にえんだぁぁぁぁぁいやぁぁぁぁが流れてる。
再会に喜びを馳せてる場合じゃなかった。
私やることやらなきゃ。じゃないと夢が潰される。

｢頑張ろ……｣
｢？ おう｣

昼休み後は、私の屍が出来上がっていたと放課後シカダイ達に言われた。
うるせぇ黙れ。

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