人生三度目の転生先はBORUTOの世界でした【アカデミー編】

第18話 ページ20

空へと飛び立ったフライは私を連れ、森奥へ進んでいく。
アカデミーの方から慌てた声が聞こえたが、今はそんなことよりもフライの治療をしたい。
そう思っていた矢先、とある崖の上で優しく降ろされた。
後ろを振り向き、フライの方を見ると泣きそうな瞳で私をただじっと見つめていた。

｢ごめんね、昨日助けてあげられなくて｣

そう言うとフライは首をゆっくりと横に振り、地面に大きな身体を伏せる。
フライの大きな頭を優しく持てば、私に負担がかからないようにと体重をかけないでいてくれる。本当に優しい子だ。

｢吃驚したよね。私の姿が変わってて｣

クロウカードがあった世界での私は、黒髪黒目ではなく黒髪緑目で母である撫子さん似の美少女だった。
それが今では特別美人でもなければブスでもない平々凡々の至って普通の顔なんだもの、驚くに決まってる。
それなのにフライは、私に頭を擦り寄せて気にしないでくれる。
本当は身体中痛いはずなのに。サクラさんのパンチと7代目の螺旋丸をくらって骨が折れない訳が無いのに。

｢これからはずっと一緒だから……｣

前世では早く亡くなってしまった。それこそ18の頃に。
クロウカードが私のカードに変わってすぐの事だったから、寂しい思いをさせてしまったはずだ。
だから今世では、おばあちゃんになって亡くなるまで皆と一緒にいるんだ。

｢月の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ。契約の元、Aが命じる封印解除(レリーズ)！｣

自身の歯で指を噛み血を出し、巻物となっている封印の鍵に血をつけ、呪文を唱える。
前世と同じ月の力。月をイメージした先端を覆うように草花が丸く円をかいた水色の杖。
そっとフライの方に杖を向け更に唱える。

｢汝のあるべき姿に戻れ、クロウカード｣

杖の前で光のカードの形になったあと、フライが光のカードに吸い込まれていく。
完全に吸い込んだあと、私の方に自力でやってきたカードに名前を書き本の中に入れ閉じる。
キュィン！という音の後に光が発生し、フライの傷が治っていったのがわかる。
本を開き、カードを見てみればもうボロボロだったフライは元通り元気な姿になっていた。

｢良かった……｣

ホッとしてカードを抱き寄せてると、こちらに近づく気配に気づく。
慌てて本を巻物の中に入れ、杖を巻物ネックレスに戻すと同時に7代目達がやってきた。

｢怪我はないか！？｣
｢さっきの鳥は……｣

7代目達に色々聞かれたが、お得意の作り笑いでその場をやり過ごした。

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