宇随の四人目の嫁は星柱 (ページ35)

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参拾肆ページ35

妊娠したことをどうしても杏寿郎に教えてあげたくて無理言って須磨に付き添って貰って杏寿郎のお墓参りに向かった。

杏寿郎の形見の羽織も似合わないけど羽織ってみた。

丁度弟の千寿郎くんも居た。

千寿郎「(人１)さん、お久しぶりです。………その羽織って………。」

(人１)「杏寿郎から形見として頂いた、私より千寿郎くんの方が持っていて価値はあるというのに。」

千寿郎「きっと兄は『いつも側に居るよ』という意味で渡したんだと思います。兄妹のように仲良くされてたと聞きました。寂しい思いをさせたくないのでしょう、だから持っていてあげて下さい！」

明るく微笑む千寿郎くん、本当に穏やかで優しい子。

(人１)「墓の横に刃を立てることを許してね………。星の呼吸、蟹座霊界之誘い」

墓の横に刃を立てると幽体で杏寿郎が現れた。

杏寿郎「よもやよもや、(人１)じゃないか！」

(人１)「今日さ、杏寿郎に教えてあげたいことがあるの。」

杏寿郎「何だ、悪いことは聞かないぞ！」

(人１)「私、天元との子供を授かったの！天元もね、産んで良いって言ってくれたの。あ、隣に居るのは須磨。私と同じく天元の妻の一人なの。」

隣で幽体の杏寿郎が怖くてわんわん泣いている須磨。

杏寿郎「それはおめでたい事だ、出来れば生きて会いたかったものだ！………須磨さん、そう怖がらないでくれ。」

須磨「(人１)にはいつも天元様がついて居るので安心して成仏して下さい………！！」

………うん、やっぱり怖がってる(笑)

千寿郎「あ、兄………上………？」

杏寿郎「千寿郎！」

千寿郎くんはかけよって抱きつこうとするも幽体なので空を切るだけだった。

杏寿郎が千寿郎くんの頭を撫でる。

もう術の効力が薄れて杏寿郎の姿もゆっくり薄れていった。

杏寿郎「千寿郎、日々頑張っているようだな！流石俺の弟だ、これからも天から見守って居るぞ！………(人１)、今度は赤子の顔を見せに来てくれ！」

杏寿郎が微笑んだまさにその時術の効力がきれて彼が消えた。

千寿郎「(人１)さん、兄上に会わせていただいてありがとうございました。今度家にもいらして下さい！」

剣を墓の横から抜いて鞘に戻す。

またゆっくりと天元の屋敷に向かい始めた。