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一緒に強く ページ48

Aサイド

スタジオから離れて歩き出す。そして電話で話
していた内容に切り替わった。

芝「…完全に特定されてる。」

「…ど、どうしよう…」

健くんが私の家の前を通った時、あの男たちが
家の近くでたむろっていて、扉をノックしてい
たらしい。健くんの表情からして嘘じゃない。

芝「しばらくは私の家に泊まる…?」

「で、でも…」

それが健くんにとって、相当な迷惑になること
も分かっていた。でも、今の状況で家に帰れば
またあの男たちに捕まってしまうのは確実。

芝「私はもう…失いたくない。」

「…健くん…」

伏せ目で健くんは呟く。そうだ。健くんにとっ
て、大切だったお姉ちゃんが居なくなって…

芝「お願い。私の家に泊まって。」

「…うん。でも、お姉ちゃんは…?」

あの家にお姉ちゃんを置いて、ずっと放置する
なんて考えたくもなかった。放置される気持ち
を味わったことがあるから…辛さがわかる。

芝「きっと大丈夫。理由が理由だから。」

「そうかな…」

芝「そうだよ。Aのお姉ちゃんでしょ?」

…お姉ちゃんは最後まで優しい人だった。あの日
最後の会話も…私の心配をしてくれて…。



『A。しばらく私、帰って来れないの。ご
めんね?ご飯食べて、睡眠とるんだよ?何かあ
ったら健に連絡してね?Aなら大丈夫。強く生きられるから。私の妹だもんね、A?
…じゃあそろそろ行くね?愛してるよ、A。』

あの時の私は気づかなかった。今ならそれが最
後になるであろうと予想はつく。でも私は…

「…?…うん、行ってらっしゃい。」



_「…っなんで…私…」

全然関係ないのに…涙が出てくる。なんで…?今
更後悔したって遅いのに。馬鹿だなぁ…。

芝「泣かないで。お姉ちゃんは望んでないよ、」

健くんはそっと優しく抱きしめてくれる。その
温もりがお姉ちゃんと同じで…更に涙が溢れる。

芝「だから…笑って?一緒に強くなろう…?」

「健くん…も…泣いてる…」

見上げると、健くんも僅かながら涙ぐんでいた。
そうだ。辛いのは私だけじゃない。健くんも…

芝「強くなるしかない。ね、A…?」

「うん…うんっ、強くなるっ…」

私たちは、ここが外であることも忘れていた。
さっきまで雲に隠れていた太陽は、今ではきら
きらと美しく、眩しい夕日へと変わっていた。

あとかぎ&第2部のお知らせ→←本当の兄妹みたい



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設定タグ:SLH , アナタシア , 踊り手   
作品ジャンル:恋愛
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海乃(プロフ) - まいさん» ほんとですよ。(姉) (2020年1月26日 11時) (レス) id: c74b58390f (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 海乃さん» こんな素敵な兄がほしかったです(一人っ子) (2020年1月26日 9時) (レス) id: bab06c7eda (このIDを非表示/違反報告)
海乃(プロフ) - いや、健くんが素敵すぎるんだ。 (2020年1月25日 22時) (レス) id: c74b58390f (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - あひるの子さん» 3万hitいつの間に!?気づかせてくれてありがとうございます!りょーくんいいですよねぇ(私も推しなので)期待に応えられるよう頑張ります! (2020年1月19日 19時) (レス) id: bab06c7eda (このIDを非表示/違反報告)
あひるの子(プロフ) - コメ失礼します!3万hitおめでとうございます!お話のテンポが軽快で楽しく読ませていただいてます!「りょーちゃんコラボは私得」と、私も思いました(推しなので)。更新頑張ってください! (2020年1月19日 13時) (レス) id: 4dac028957 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まい | 作成日時:2019年11月17日 18時

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