【SLH】“愛情”なんて｡

好き？大好き…？ ページ39

Aサイド

｢健くん、教えてくれてありがと。｣

私はいつの間にか泣き疲れて眠っていたようだ
った。目が覚めると次の日になっていたし、変
な体制のままで健くんを困らせてしまったとい
う申し訳なさが、私の中では募っていた。

芝｢全然いいよ！気にしないで！‪w｣

私がこんなことしても尚、笑ってくれる健くん｡
ましてやりょーくんからの連絡も教えてくれた
し、本当に優しいんだなって思う。

｢あと、ごめんね…｣

昨日傷つけた腕を触る。恐らく健くんが手当し
てくれたんだろう。包帯が丁寧に巻いてある。
それに健くんの服は私の涙で濡れてしまった…

芝｢いいんだよ、大丈夫！｣

健くんの大きな優しい手が私の頭を撫でる。そ
の優しい撫で方がどこかお姉ちゃんと似ていた｡

芝｢でも！腕切るのはよくないよ？｣

｢…うっ、うん…。｣

あからさまに動揺した私の返答は少しおかしく
なってしまった。健くんにこの行為を止められ
たことなんて今まで1度もなかったから。

芝｢でもね、A？｣

健くんは私と目線を合わせてこう言った。

芝｢Aが楽になるならって思う私も居る。｣

｢うん、｣

芝｢でもやっぱりね、Aのことを守れなかっ
たって罪悪感も絶対にあるんだよ。｣

罪悪感…か…。健くんはいつだって私のヒーロー
みたいな存在だったし、お兄ちゃんみたいな存
在だった。今もそうなんだけど。そんな健くん
が罪悪感を感じるってことは相当だよね…

芝｢でもそれはAが大好きだから｣

｢大…好き…？…好き…？｣

いつも思うけど…好きってどういう意味なんだろ
う。好き？って聞かれても悩むことが多い私は､
周りから気味悪がられることがしょっちゅう。

｢好き…って、誰かを守りたくなること…？｣

私がそう聞けば、健くんは困ったように笑う。

芝｢んー…好きって難しいんだよねぇ｣

｢そ…なんだ…｣

芝｢でも､Aには自分で気づいてほしいんだ｣

｢自分で…？｣

愛も知らない私に出来るのだろうか。どうやっ
たらその感情に気づける…？どうしたら…

芝｢そんな難しく考える必要はないよ‪w｣

｢…健くんが言ってること、矛盾してる…｣

さっきまでは、難しいんだって言ってたのに。
難しく考える必要はない？どうして…？

芝｢きっと気づかせてくれる人がいるから。｣

｢気づかせてくれてくれる人…｣

私にとっては誰になるんだろうか。そんな風に
考えながら私は健くんに対して小さく頷いた。

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