きゅけ腐短編

ねごとだから(izfk)(リク) ページ42

izw side

ずーっと男子校に通ってきて、
大学から突然女性のいる世界に入って。

そう、同性愛が普通なあの男子校のあたりまえから
俺がすぐに抜け出せるわけがなかったのだ。




QuizKnockに入ってしばらくして、
福良さんが好きなのだと気づいてしまった。

今まで同性を好きになったことはなかった、
でもそんなわけで別に男性を好きになった自分にわるいきはしていなくて。

その代わり申し訳なさが勝った。

仕事をしているときもつい福良さんの顔を
じっと見てしまう。これが一番良くないことだ。

他の人に集中できないのは失礼なこと、
そう思っているんだけど上手くいかない。

恋愛ってこういうことかー、とため息をついた。











「……ざわ」






「……伊沢？」

「えっ、あ、」
「あ！っ起きた起きた…よかったあ」

俺は動画撮影のソファに寝転がっていた。

撮影前に時間があったのでぼうっとしていたら、
そのまま寝てしまっていたみたいだ。



福良さんが「ほっぺ、」と呟く。

「ん？俺？」
「ソファの跡ついてるよ」
「うわ、恥ずかしい」
「撮影10分後に始めるけど跡きえるかな？」
「うわーマズイマズイ……」

横で福良さんは「まったく」とため息をついてから
へらりといつもの様に笑った。

「……僕一人で良かったね。」
「え？なんで？」
「うーうん？なんでもない」

そう言ってから福良さんは何かを思い出したようにして
ぱたぱたと撮影部屋を出ていった。

その後ろ姿を一瞬見た時に、
なびいた髪の隙間から赤い耳が見えたような気がして。






「……なんなんだろう」



















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fkr side

少し前から撮影部屋の明かりがついていて、
なんでだろうと思っていた。

ドアをゆっくり開けるとやっぱり伊沢だ。
たまに寝てると気づいたのは長年一緒にいる勘かも。

「……いざわ？」

トントンと肩を叩いたけど起きる気配なし。
時計を見たらまだ時間があるので、
少し寝させてあげようと思って。

ソファに俺も腰掛けた、とき。





「……くらさ」


「え？」
伊沢を見るけど、瞼は閉じられたまま。





「すき、ふくらさん」





2人きりの部屋に聞こえたそれは、
俺の顔を赤くするには十分で。




「……え？」

よく見てみるけどやっぱり寝ている。
最悪、知らないフリしなきゃじゃん。


「……なんなの」

寝息をたてる伊沢にため息をつきながら、
その髪を優しく撫でた。

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