きゅけ腐短編

ストーカー（izym） ページ3

ymmt side

なんかおかしいとは思ってたんだよな。

同時に聞こえる足音に、気づいていないふりをしてこの路地裏まで来てしまったのが間違いだったんだ。






「あのっ、僕、ずっとファンで、好きで、」

「本当に本当に大好きです、愛してます、よしあきさん、」



……大変なことになった。




QuizKnockのみんなで飲み会に行って、僕一人だけ駅が反対方向だから違う道で帰っていて。

間違いだったかー、なんて考えてる脳みそはやたら冷静。
目の前には目をギラつかせる男。



「あぁ、祥彰さん、」


あー案外身体は動かないらしい。こういう時に。
しかも声まで出ないしもうほんと僕情けない。

……僕の後ろにもう道はない。八方塞がり。



「…あぁ、あああああ、」




「この道まで追いかけてきて良かったです！！！」



「本当にずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと大好きでした！！！愛して、」




そう言った瞬間男はどふ、と音を立てて倒れた。

ぽかんとする僕の近くにずんずんと来て、
ゴンッと僕の頭を殴るその人。







「い、い、いざわさ、」

「何してんの本当に、馬鹿なの？もう、」

さすがにこの夜道に1人は怖いと思って、なんて伊沢さんが話している間に僕はその胸の中に飛び込んだ。

「う、わっ！？」

「い、いざぁさ、いざわさん、んんん」

「ちょちょ落ち着け、どーどー」




今日くらいは胸に飛び込むくらい、許されると思った。

ストーカーから助けてくれたヒーローの胸板は厚くて、
なぜか鼓動も早かったように感じた。

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