きゅけ腐短編

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izw side

(何それ、からかってんの？)

そう思い顔を上げると、
不思議そうにしたままの福良さんと目が合った。

……どうやらからかってる訳では、ないな。


「あれこれもしかして俺、やっちゃった感じかなー」

そう言いながらぽりぽり頭を搔く福良さんと、
まだ情報が追いついてない俺。


「なんでそんなこと聞くの？」

「あー、いや、うーん、なんでもないよ。」

「誤魔化すなよ」

まったくもう、という表情でため息をつかれ、
俺はますます訳が分からなくなる。



「……そのまんまの意味だけど。」

「いつ付き合うかって？」
「そ」

おれが山本に好意を抱いているのは、
とりあえず山本以外にはバレバレで。

少し前に須貝さんが山本不在の日に
ぽろっとその話をオフィスでしたため広まってしまった。

だからまぁ、それはいいんだけど。


「いや、山本はおれのこと好きじゃないじゃん」



はぁーーー、とこれまた長い溜息をつかれる。
なんなんだコイツ、やっぱりからかってんのか？

「なんもわかってない。」
「？なにが」
「とりあえずさぁ、2人で飲みにでも行けば？」



「そうしたらきっと分かるよ、」

たぶんだけど。とか言って福良さんは
そそくさと撮影部屋から抜け出してしまった。

おれはぼんやりと山本の顔を思い浮かべる。





(…………いつ付き合う、か)



付き合うなんてそんなの夢のまた夢だぞ、
と半年間ずっと思っていたけれど。


もしや可能性はあるんじゃないのか？

なんて考えてしまう俺の脳はやっぱり単純なのか、
はたまた福良さんに操られてしまっているのか。




気づいたら俺はスマホを持っていた。

もう今しかチャンスはないだろう、そう思って。

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