きゅけ腐短編

ひみつ(mngn) ページ12

gn side

もう夜もふけたころ、
おれはぽちっとテレビをつけた。

やっているのは夜にいつもやっているニュース。

『昨日、夜の東京の街にまたもや怪盗Qが現れたようです』

そう言いながら緊迫した顔で盗まれた物を羅列する
アナウンサーの女性。

おれはそれを見ながらコーヒーを飲み干して、
そのままキッチンに向かった。

食器洗いをせっせとこなす彼は、

「あ！言ちゃんそれも洗う？」

大好きな双子の兄である。


「あ、うん。ありがとう」
「いえいえ〜」

そう言いながら問ちゃんもテレビに目を向けた。

「あーあ、またやってるねえ」
『やっぱり昨日の作戦は少し派手だったんじゃない？』
「そんなことないでしょ、顔バレてないもん」

そう言いながらケラケラ笑う兄。

そう、今巷をざわつかせる大怪盗Qの正体。
それが俺たちだなんて民衆は知る由もないだろう。

双子だから同じ仕事について、同じ家に住んでいる…
他の人はそう思っているはず。

でも違う。どうして二人でいるかって、
空いた時間に怪盗職の話ができるからに決まってる。


「顔バレてなくて良かったよ。」
「まぁ片方バレても、ね。もう片方いるから」

問ちゃんがそんなことを言うから、
俺はつい寂しくなる。

「いや、だめだよ。」
「え？」
「だってふたりでひとつ、でしょう？」

そう言って問ちゃんを見つめると、
それもそうか、と呟いてにっこり笑った。


「2人じゃないと何も出来ないもんね」

「ふふ、そうかもしれない。」

俺たちは都会の夜を揺るがす大怪盗。
今日も夜中にマントを翻して盗みを働くんだ。

…だってそれが俺たちの生き方なのだから。

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