12月 ページ18
恋する乙女の無敵モード卍
***
「あれ?今日日直だったの?」
授業が終わり、みんなが各自帰ろ〜部活行こ〜とだらだら席を立ち始める放課後。
私が黙々と学級日誌を書いていると、後ろから声が掛かる。
振り返ると角名くんが思いのほか近くで見下ろしてて心臓が跳ねた。
「うん、すなくんはお部活ですか?」
「お部活ですね」
「ぜひとも頑張って下さい」
「……つむじ押してもいい?」
「なんでだ!はよ行け!」
綺麗な人差し指を払ってからハッとした。
バレーって指が大事なんじゃなかったっけ。そういえば前にテーピングしてた気がする。
慌てて彼の手首を引き寄せて指を包んだ。自分の手で。
「……え、何?積極的じゃん」
「すなくんがバレー選手なのを忘れてた」
「…ああ、そういうことか。Aの力程度じゃ俺の指は何ともないから大丈夫だよ」
安心させるような優しい手つきで指を解かれて、よかったと頬が緩んだ。
じゃあ行くね、と教室を出ていった彼の後ろ姿が離れていくにつれて、私の身体は熱を帯び始める。
……今、教室に二人きりだったよね?
………私は、角名くんの、手を握ったよね??
………角名くんの手が、私の手に___
「……これが、賢者モードってやつか!」
無意識下で行われる無敵モードが解けて、私は教室で一人呻いていた。
なんてことをしてしまったんだ、でも角名くんの優しい顔が、フラッシュバックして、うおおお!!!
「ん?あれ、すなくんお弁当箱忘れてってない?」
後ろの席のフックに掛けられているのは彼のお弁当袋だ。
お弁当箱なんて置いてったら腐るぞ!置き勉はいいけど置き弁はいかん!
「……書き終わったら届けに行こう」
頭の中が混乱して、生徒所感の欄の一行目に『すなくん』と書いて慌てて消した。
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作者名:- | 作成日時:2020年4月25日 14時