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11月 ページ16

片想いが楽しい系乙女かもしれない私ってやつは。



***



報告します。
11月某日に行われた席替え、見事角名くんの前の席を勝ち取りました。



「ここまで来るとちょっと怖い」


「俺のストーカーとか見る目あんじゃん」


「くじ引きで細工するストーカーとか高度テクニック過ぎてついてけんわ」



角名くんの隣の席の女の子は生あたたかい目でこちらを見ている。どんな顔なの、ねえ。


ざわざわしている教室の空気を締めるように、凛とした委員長の声が響く。



「文化祭の出し物の案これ以外にある人いますかー」



無駄口を叩いているが、角名くんは気づいているだろうか。このまま案を出さないと、女装カフェが採用されるのが確実だということに。

だって女装カフェ提案した女子への拍手がすごかったもん。絶対宮くん狙いだよ。宮くん女装絶対似合わないと思うけど。


そんな私の心の声を見据えたように、頬杖をついた彼は堂々と言った。



「俺絶対接客しないから」


「えーしないの?見てみたかったなぁ」


「意地でも裏方入るから」



有言実行。えー!角名くん女装しなよー!え?料理が得意?じゃあ裏方だね、しょうがない!

流れるようなやり取りで彼は裏方担当に回った。



「……Aも接客じゃないでしょ?一緒に頑張ろ」


「う、うん。料理得意なの?意外と家庭的なんだね」


「あれは嘘」


「嘘かよ」



女装したくなかっただけだと思うけど、私が裏方にいることを知っててこっちに来てくれたのは嬉しかった。


胸があたたかい。角名くんの言葉一つ一つに元気が貰える。

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作者名:- | 作成日時:2020年4月25日 14時

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